ちゃんと ページ39
A視点
屯さんに謝られた。私の軽はずみな行動のせいで悩ませた挙げ句謝らせてしまった。当の私はそんなことつゆ知らずだったのが恥ずかしい。
「私こそ、なんだろ……事を急かした、じゃないけど、急にあんなことしてごめんなさい。調子に乗ってしまって」
私はそう言って頭をペコッと下げた。こんなんで許してもらえるとは思ってない。
「わ、Aさん頭上げてや……？
今回のはどっちもどっちってことで終わりにせん？きっと僕らのことやから朝まで謝り続けそうやし……」
「……ふふ、そうだね」
その言葉に少しだけ胸が暖かくなった。本当に謝罪大会で一晩を過ごしそうだったからそう提案してくれて嬉しかった。
「ねぇ、屯さん。あの……ぎゅってしても、いいですか」
「は……うん。おいで」
私は胡座をかいた屯さんの膝に座り、腕を背中に回して胸に顔をすり寄せた。少し速い心臓の音が聞こえて、私まで恥ずかしくなった。
「いつにも増して今日は甘えん坊やったなぁ」
「うぅ、ごめんなさい……」
「別に怒ってへんよ？Aさんまだ若いんやからいっぱい甘えとき。甘え上手な方がええよ。か……可愛いし」
きゅっと少し強められた腕の力にキュンキュンしてしょうがなかった。可愛いのはそっちだよっ……！
「屯さんだってまだまだ若いじゃない」
「えぇ〜Aさんが言う〜？僕もうじき30やで？」
「切り捨てたら20歳じゃん。ふふふ」
「なんちゅう暴論……」
なんて回ってない頭を使って会話すること数分。ポンポン優しく叩いてもらってる背中と彼から伝わる体温が心地よくて、段々眠くなってきた。
「ねぇねぇ屯さん」
「はーい？」
「大好き」
「……ふふ、僕も大好きやで」
私たちは唇を重ね、眠りについた。
・
翌朝。目を覚ますと、視界にはワインレッドが広がっていた。そして身動きがとれない。
お察しの通り、抱き枕にされている。ワインレッドの正体は彼の寝間着。
暖かいけど、寝返り打つので精一杯だからちょっとキツい。
なんとか手を伸ばして携帯を掴み電源をつけると、液晶には5:28と表示されていた。
いつもの生活リズムのせいでどうしてもこういう時間に起きてしまう。数年前は朝寝坊なんかざらだったのに。
「ん……さむ」
「ひゃうっ……！」
すると彼は私の寝間着の隙間からするりと腰に手を当ててきた。寒いのはこっちです、屯さん……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おぼろどうふ(プロフ) - 3回目（笑）失礼します。まだ数話しか投稿されてない時から追ってましたがもう終始好きでした。完結おめでとうございます！新作も楽しみにしてますね(^^) (2021年2月19日 9時) (
レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
ウィング(プロフ) - おぼろどうふさん» 2回もコメントしていただきありがとうございます！不器用でちょっと奥手な可愛いカップルを目指して書いてるのですごく嬉しいです^^ 更新頑張ります！ (2021年2月15日 0時) (レス) id: 6d010e161a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - 自分すぐ濡場に持っていきたがるのでこういう甘酸っぱいの滅茶苦茶好き…、1話投稿される度にニヤニヤしてます。更新頑張ってください (2021年2月14日 23時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
ウィング(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございます〜！そのコメントがめっちゃ好きです……(*^^*) (2021年1月31日 14時) (レス) id: 6d010e161a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - めっちゃ好き。お弁当から始まる恋愛とか好きじゃん… (2021年1月31日 14時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ウィング | 作成日時：2021年1月1日 4時
