ふくふく弁当 ページ1
「今日からよろしく頼むよ」
「はい、精いっぱい頑張ります！」
真新しいエプロンを身に付け、腕捲りをして気合いをいれた。
私、
駅から少し離れた路地の一角、比較的
「そしたら今日は仕込みと配達をお願いしようかのぅ。配達は16時からだから、先に接客の流れを教えるよ」
店主はいわゆるお爺ちゃんで、今までは奥さんと二人三脚でこのお店を切り盛りしてきたらしい。
しかし今は病床に伏しているらしく、代わりの従業員を探し始めてすぐの頃にちょうど私が応募したので雇った、という訳だそうだ。
「まずお客様から注文を聞くじゃろ？弁当はさておき、おかずは量り売りじゃから、まずパックに盛ったらここを押して……」
といった感じで実演しつつ丁寧に教えてくださった。おかげですぐに覚えられそうだ。
「大体こんな感じじゃ。分からんことがあったらなんでも声をかけておくれ」
「はい、親切にありがとうございます！」
「こちらこそ、その真面目な姿勢を見せてくれて嬉しいよ。ありがとう。
そうしたら、早速配達する弁当の仕込みをお願いしてもいいかね？わしも一緒にやるから心配はいらんよ」
「分かりました！」
私は店主に続いて厨房へ向かった。
・
このお店の売りはだし巻き玉子と唐揚げ。冷蔵庫を見れば一目瞭然、そこには大量の卵と鶏肉が入っていた。
だし巻き玉子はこだわって毎日一から出汁をとっているらしい。だから一口食べると出汁の香りがじゅわっと広がるのと、そのふるふる、ふわふわ食感に誰もが幸せになるという。
また唐揚げはサックサクの衣と溢れる肉汁に、食べた人皆が虜になってしまうらしい。物件探しのとき担当してくださった不動産の方がそうおっしゃっていた。
「レシピは全部これに書いてあるから、わしが居ないときはこれを見てやっとくれ」
と言って渡されたのは1冊のノート。表紙には『秘伝！ふくふく弁当のふくふくレシピ』と達筆な字で書かれている。
「え……わざわざまとめてくださったんですか？」
「いやいや、これは婆さんがやってくれたんだよ。Aちゃんにあげるから、役立てておくれ」
「あ、ありがとうございます……！」
このお方には足を向けて寝れない。つくづくそう思った。
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おぼろどうふ(プロフ) - 3回目（笑）失礼します。まだ数話しか投稿されてない時から追ってましたがもう終始好きでした。完結おめでとうございます！新作も楽しみにしてますね(^^) (2021年2月19日 9時) (
レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
ウィング(プロフ) - おぼろどうふさん» 2回もコメントしていただきありがとうございます！不器用でちょっと奥手な可愛いカップルを目指して書いてるのですごく嬉しいです^^ 更新頑張ります！ (2021年2月15日 0時) (レス) id: 6d010e161a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - 自分すぐ濡場に持っていきたがるのでこういう甘酸っぱいの滅茶苦茶好き…、1話投稿される度にニヤニヤしてます。更新頑張ってください (2021年2月14日 23時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
ウィング(プロフ) - おぼろどうふさん» ありがとうございます〜！そのコメントがめっちゃ好きです……(*^^*) (2021年1月31日 14時) (レス) id: 6d010e161a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - めっちゃ好き。お弁当から始まる恋愛とか好きじゃん… (2021年1月31日 14時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウィング | 作成日時：2021年1月1日 4時
