41話 未来を展望して〜fin〜 ページ43
A「だから、自分のことも大切にしてください。師範の幸せが私の幸せなんですから」
師範の腕を優しく解き、
正面を向いてそう伝える。
伊黒「その言葉、そのままお前に返す。Aの幸せが俺の幸せだ。俺も死なないと約束する。だから、お前も死ぬな…」
A「…はい」
伊黒「Aはもっと自分のことを大切にしてくれ。俺にはお前が必要だ…」
師範は私の乱れた髪を耳にかけ、
慈しむような目で私にそう言う。
伊黒「あと一つ約束して欲しい。俺はお前から離れない。だから、お前ももう離れないでくれ。」
A「…はい」
師範の腕は私の腰あたりに回される。
その腕は震えることはなかった。
優しく、そして力強く私を抱いた。
A「師範…」
私は愛する人の言葉にさっきまでの感情が嘘のように溶かされていく。
私が師範を幸せにできるかわからない。
正直、自信はない。
だけど、私に出来ることは全てしたいと思った。
A「私、師範と二人で幸せになりたいです…」
過ぎ去った過去はどうすることもできない。
無理に忘れようとするのも違う。
伊黒「あぁ、俺もだ」
だから、辛く悲しい過去はそっと胸の内に秘め、
私達は今を生きることを決めた。
幸せな未来を展望して。
A「師範、愛してます。」
その言葉を言い終えるとほぼ同時に、
私の視界は塞がれた。
そして、唇にざらりとした包帯の感覚。
愛する人の予想だにしない行動に
私は思わず恥ずかしくなって顔を逸らしてしまう。
伊黒「A。こちらを向いてくれ。俺は愛おしい女の顔を見ることもできないのか。」
いつもの師範の執拗な台詞さえ愛おしく感じる。
A「師範のばか…」
私は今どんな顔をしているんだろう…
赤らんだ頬に涙を浮かべた目。恥ずかしい…
伊黒「こんな愛らしいお前を前にいつもどれだけ俺が我慢しているか知っていたか?それに、お前が腕の中に居ると言うのに何もできないのは酷というものだ。」
A「でも師範、雨濡れちゃいます…風邪ひいちゃ…」
そんな言葉も簡単に遮られる。
伊黒「……い」
A「え?」
伊黒「小芭内。これからは名前で呼んで欲しい。」
愛する人にはいつだって敵わない。
どんどん私は貴方という沼にはまっていく…
A「小芭内さん…」
伊黒「A…愛してる…」
上出来だとでも言うように
彼の冷たい唇が私の唇に重なった。
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時