最期の話 (ページ12)

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深酒をして昼過ぎまで寝ていたある日、メールの受信音で目が覚めた。

ヒナからだった。

『大事な話があるから、暇になったら電話くれ。』

俺はすぐに電話した。

「ヒナ、なんや大事な話って。なんかあったんか？」

「こないだな、大倉が酷い腹痛で病院行ったんや。そんで詳しい検査したらな、

ガンなんやて。膵臓ガン。

ひとまず今日から入院するらしいから、時間見て来たってや。」

急いで病院に向かう途中、丸のときを思い出して嫌な汗が止まらなかった。

大倉の病室では、5人がなにやら揉めていた。

「どうしたん、お前ら」

そう声を掛けると、みんな気まずそうにこちらを見た。

「大倉のガン、ステージ4なんやて。手術もできんらしい。」

ヒナの言葉に俺は動揺したが、どうにか冷静さを装って聞いた。

「そんで何で揉めてたんや。揉めることなんかないやろ。」

ベッドの上の大倉が答えた。

「俺が治療するの断ったんや。抗がん剤とかやらんで、ゆっくり過ごしたいって」

「はっ?なんでや、意味分からん。治療すれば治る可能性もあるんやろ。」

「抗がん剤やると食べるのも出来なくなるし、すごい苦しいんやて。それにな、膵臓ガンのステージ4てな、ほぼ治らないって言われてんねん。それに賭けるより俺は最期まで自分らしく生きたいんや。」

大倉の言葉に、誰も納得していなかった。

「とりあえず、今日は帰るけど俺らは諦めるつもりないからな。もう一回考え直してや。また来るから」

目を真っ赤にした亮がそういって、病室をでると、亮が泣き出した。

「何でなん？丸は事故で死んで、大倉まで死ぬなんてありえへんやろ。俺ら何かしたんか？みんなが大倉の意思を認めても、俺は絶対認めんからな」

俺らも同じ気持ちだった。アイツまで死ぬなんて耐えられなかった。