1人じゃないんだから【ハ/ロ/嫁】

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帰ってから私は風見さんに頼まれて爆薬の解析を進めていた。とはいえ液体が混ざり合えば瞬時に爆発する、凶悪な爆薬だ。細心の注意を払って慎重に慎重に。

そうしていると唐突にスマホが震えた。風見さんからだった。

「もしもし風見さん？」
「捜一と合同で捜査をすることになった。至急、地下の会議室へ来て欲しい」

合同で捜査？一体何があったんだ。その場で色々質問攻めにしたくなったが、向こうも向こうで予想外なことでも起きて忙しいだろう。事情は会議室に着いてから詳しく聞くとしよう。

「すぐ行く」

そう言って通話を切り、スーツの上着を引っつかむ。爆薬の解析は途中だったが部下に頼んで飛び出した。

◇

「それで、どういう状況なの？」

会議室に着いての第一声はそれだった。何も聞かずに全て放り出してここに来たことを褒めて欲しい。

「千葉刑事が拉致された。相手は松田刑事を要求しているようだ」

刑事が拉致、という事実にも驚いたがそれ以上に松田刑事──陣平の名前が出てきたことに驚いて、思考が一瞬停止した。しかし動揺はしてはいけない。私情は入れてはいけない。深呼吸して落ち着いて、それから口を開いた。

「でも無理、だよね。だって松田刑事は、もう……」

最後まで言ってしまうと泣いちゃいそうでキュッと口を噤んだ。
お互い無言になってしまった。そのタイミングで捜査一課の方々が会議室に入って来た。

「それで、こんな所に集めてどうしようってのかしら」
「情報交換だ」

佐藤さんが喧嘩腰で聞いてきた。風見さん、かなり敵対視されていないか。でも仕方ないよなあ、公安は極秘情報が多すぎる。
それに、きっと焼死事件の捜査を中止させた時に一悶着あったんだろうな……。
風見さんも風見さんで高圧的な態度取るから不信感を抱かれてるんじゃないだろうか。

「へぇ、フルヤという人に会わせてくれるの？」

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