182話(said：Ａ) ページ32
「いって」
「どしたの？」
俺の手元を覗き込んできたFBが、うげ、と低い声を出した。
人差し指の第1関節の裏側を、手にしていた紙ですっぱり切ってしまった。
めくれた皮膚の境目から、赤い血がじわりと滲んでくる。
「痛そ〜...」
「やっちまった」
傷口をぱくりと咥え、滲んだ血を舐めとる。
口の中が鉄の味で満たされるのが不愉快極まりない。
口を離しても、じわりじわりと血が滲んでくるから、結構深くやっちまったらしい。
「血 止まらん？」
「うん。ティッシュくれ」
「あろま どうしたの？」
リビングで騒ぐ俺達の声が気になったのか、キッチンにいたAが俺の隣にやってきて、隣で小さく息を飲んだ。
ぱっくり裂けた傷口と、滲む血をしっかり見てしまったようで、青い顔で表情を強ばらせている。
「あ、あろま、いたい！？」
「大丈夫、舐めときゃ自然と治るから」
「ダメだよ、バイキン入ったら いたいんだよ！」
ちょっと待ってて、と言って姿を消したAが、数分後戻って来た。
指見せて、と言ってくるから、まだ血が止まってない指を差し出すと、たどたどしい手つきで、傷口に絆創膏を貼ってくれた。
なるほど、さっきこれを取りに行ってくれてたのか。
Aは本当に優しい子だな。
「できた！」
「んんん キ○ィちゃんかぁ〜」
俺の指に巻き付く、国民的マスコットの白いネコ。
ばっちりウインク決めてくれてるけど、30超えたおっさんの指に、このキャラクター物はなかなか厳しいと思うぞ、A。
「これで痛いのなおる？」
「Aが手当してくれたからな」
ありがとう、と頭を撫でると、嬉しそうに表情を緩めるA。
しょうがない、この笑顔に免じて、キャラ物の絆創膏を使わせてもらおう。
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ねい(プロフ) - 平部員さん» お返事遅くなってしまって大変申し訳ありません。書き終えた私も今後の展開を色々と想像するのが楽しいです。最後まで読んでくださってありがとうございます！ (2018年9月26日 23時) (
レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - (*´ー｀*)さん» お返事遅くなってしまって大変申し訳ありません。無事完結することが出来ました。読んでくださってありがとうございます。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
平部員(プロフ) - かなり時間が経ってしまいましたが、完結おめでとうございます！！！！完結したいま、この先を想像するのが楽しいです(笑)ほっこりするお話をどうもありがとうございました！！！ (2018年7月22日 17時) (レス) id: 4be846ef1b (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - 完結おめでとうございます！ (2018年7月20日 19時) (レス) id: 4de10ffa38 (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - すうさん» ありがとうございます。少しでも彼らの幸せな1場面を書きたいという自己満の思いから書き続けてきましたが、少しでも彼らの幸せがすうさんにも届いていたのなら書き手として嬉しい限りです。彼らにはこれからも笑顔と幸せ溢れる日常を過ごしてほしいと願っております。 (2018年7月12日 20時) (レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
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