181話(said：Ａ) ページ31
「A」
名前を呼ぶと、ぱっと振り返って俺に視線を寄越すA。
あろま、なんてちょっと舌っ足らずな声で俺を呼んで、目を細めてとびきりの笑顔を見せてくれる。
俺にとっては血の繋がりもない、年の離れた赤の他人だっていうのに。
構えた携帯の画面に映る愛くるしい笑顔を逃さないよう、シャッターをきった。
「とれた〜？」
「撮れた。ほら」
画面を見せると、小さな機械の中の笑顔にも負けない華やかな笑顔を浮かべてそれを見る。
たった1年。
一緒に過ごしただけなのに。
「あろまー！！」
幼くていたいけで愛らしい、この少女がどうしようもなく愛おしい。
「......最近、あろまはAの写真よく撮るな」
フォルダの中に溜まった写真を眺めていると、隣からえおえおが手元を覗き込んできた。
A1人の写真もさることながら、きっくん、FB、えおえおも一緒に写った写真も、たくさん保存されている。
最近は相棒と化している一眼にも、こいつらの写真がたんまり保存されている。
「元々お前は写真撮るの好きだったけど、最近 顕著だな」
「そりゃお前、Aと一緒にいられる時間もあと少しだからな」
えおえおが親戚からいとこを預かったことから、全てが始まった。
本当なら、俺達とは関わる事なんてなかったのに、こいつがAに引き合わせたから、まるで家族、兄妹みたいに、毎日を一緒に過ごして。
積み重なる思い出の量が、いずれ訪れる別れの日を辛くさせる。
でも後悔はしていない。
Aに出会えた事は必然で、一緒に過ごした時間は、積み重ねた思い出は、何者にも変え難い、至極の宝物だ。
「A」
おいで、とえおえおが手招くと、とてとてと側に駆けて来たA。
えおえおに耳打ちされたAは、ぱっと表情を輝かせ、俺の腰へと抱き着いてきた。
ぐらり、と一瞬傾いた身体を踏ん張って保っている間に、手にしていた携帯はえおえおの手に。
何しやがる、と睨めば、へらりと笑ってカメラをこっちに向けた。
「あろまの携帯で、ツーショット撮ってあげる」
「あろま、しゃがんで！」
くんっとシャツを引っ張るAに急かされて、膝をついて目線を合わせる。
ぎゅっと抱き着いてきたAの柔らかな頬を、自分の頬で感じながら、向けられるレンズに視線を送った。
「いい写真」
揃ってはにかんだ様に笑う俺とAの眩しい写真をじっと見つめながら、この思い出を、また胸に刻み込む。
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ねい(プロフ) - 平部員さん» お返事遅くなってしまって大変申し訳ありません。書き終えた私も今後の展開を色々と想像するのが楽しいです。最後まで読んでくださってありがとうございます！ (2018年9月26日 23時) (
レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - (*´ー｀*)さん» お返事遅くなってしまって大変申し訳ありません。無事完結することが出来ました。読んでくださってありがとうございます。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
平部員(プロフ) - かなり時間が経ってしまいましたが、完結おめでとうございます！！！！完結したいま、この先を想像するのが楽しいです(笑)ほっこりするお話をどうもありがとうございました！！！ (2018年7月22日 17時) (レス) id: 4be846ef1b (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - 完結おめでとうございます！ (2018年7月20日 19時) (レス) id: 4de10ffa38 (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - すうさん» ありがとうございます。少しでも彼らの幸せな1場面を書きたいという自己満の思いから書き続けてきましたが、少しでも彼らの幸せがすうさんにも届いていたのなら書き手として嬉しい限りです。彼らにはこれからも笑顔と幸せ溢れる日常を過ごしてほしいと願っております。 (2018年7月12日 20時) (レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
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