168話(said：Ｅ) ページ18
「A、これ遊ぶ？」
荷物の整理をしていた時に出てきたものを、手伝ってくれていたAに差し出した。
小さなパッケージに包装されたそれは、シャボン玉のキット。
昔MSSPの動画を撮った時に使ってた小道具で、余ったのを何となく貰って帰ってきてたみたいだ。
久々に発掘されたそれを前に、目をキラキラとさせたAが、シャボン玉だー、と無邪気な声を上げる。
丁度片付けもキリがいいし、折角なのでAと一緒に遊ぶことにしよう。
「はい、Aどうぞ」
Aと一緒に縁側に移動して、開封したシャボン液を手渡す。
嬉しそうに付属のストローに液をつけて、ふぅ、と息を吐き出した。
「できたー！」
出てきたシャボン玉が、ストローの先端を離れて、ふわりふわりと浮き上がる。
ゆらり、ゆらり、と揺れるたびに、表面の膜の上を多様な色が流れていく。
青や紫、緑の色を纏いながらゆっくり空に上っていくシャボン玉は、一定の高さまで行くとパチン、と割れてしまった。
Aがまたストローの先に液をつけて、息を吹き込む。
今度は細かいシャボン玉が沢山出来上がり、ふわり、ふわりと俺とAの側で漂う。
「きれいだな、シャボン玉」
「うん！」
ゆっくり遠のいていくシャボン玉を目で追いながら漏らす俺の感想に、Aがこくりと頷いた。
また沢山の細かいシャボン玉を飛ばすと、丁度吹いた風が、あっという間に連れ去ってしまった。
家を超えて、隣の家の屋根の方へ飛んでいったシャボン玉を、Aと揃って見送った。
「A、ちょっと貸してくれる？」
Aから受け取ったシャボン液にストローを浸して、少し大きめのシャボン玉を作る。
俺の頭より上に作ったそのシャボン玉が飛んでいく前に、もう一度液に浸したストローの先を、玉の中へ突き刺して。
その中で息を吐いて、小さなシャボン玉をいくつか浮かべる。
「すごーい！シャボン玉の中にシャボン玉があるー！」
目を輝かせながら手を叩いて喜ぶAの目の前で、パチン、とシャボン玉が弾けた。
「もう1回！お兄ちゃんもう1回作って！」
無邪気な笑顔を浮かべて袖を握るAに頷いて、もう一度シャボン玉を作るために、ストローへ息を送り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「実況者」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねい(プロフ) - 平部員さん» お返事遅くなってしまって大変申し訳ありません。書き終えた私も今後の展開を色々と想像するのが楽しいです。最後まで読んでくださってありがとうございます！ (2018年9月26日 23時) (
レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - (*´ー｀*)さん» お返事遅くなってしまって大変申し訳ありません。無事完結することが出来ました。読んでくださってありがとうございます。 (2018年9月26日 23時) (レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
平部員(プロフ) - かなり時間が経ってしまいましたが、完結おめでとうございます！！！！完結したいま、この先を想像するのが楽しいです(笑)ほっこりするお話をどうもありがとうございました！！！ (2018年7月22日 17時) (レス) id: 4be846ef1b (このIDを非表示/違反報告)
(*´ー｀*) - 完結おめでとうございます！ (2018年7月20日 19時) (レス) id: 4de10ffa38 (このIDを非表示/違反報告)
ねい(プロフ) - すうさん» ありがとうございます。少しでも彼らの幸せな1場面を書きたいという自己満の思いから書き続けてきましたが、少しでも彼らの幸せがすうさんにも届いていたのなら書き手として嬉しい限りです。彼らにはこれからも笑顔と幸せ溢れる日常を過ごしてほしいと願っております。 (2018年7月12日 20時) (レス) id: 3cf28ea1ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
