王族の皆様に取り合いされてます。 (ページ8)

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約束の時刻に近づき、大きな扉の前に立つ。
…この先に、ヴィンスモーク家の方々が居る。
そして私は、婚約を破棄する。
ルイーズの名を捨てる。
お母様は先に行き、談笑をしている。
お母様の笑い声が聞こえる。
どうしても心配だと言い、ソフィアが近くまで来てくれた。

『忘れるところだった。ソフィア。』

ソフィア「はい、何でしょうかA様」

上手く隠していた花束をソフィアに渡す。
ソフィアは目を見開き、口元を両手で隠す。

『明日でルイーズ家に仕えて8年目だろう？いつもしてもらっている事のお礼だ。受け取ってくれ。』

ボロボロと涙を流し、花束と一緒に私まで抱き締めた。

ソフィア「御無礼をっ…今だけは、御無礼をお許しくださいっ……私…私…！！ルイーズ家に仕えられて、A様のお傍に居ることが出来て私は…幸せでございますっ…！！」

涙ながらに笑みを浮かべるソフィアに釣られて、心が少し穏やかになる。

『喜んでもらえたようで何よりだ。………ソフィア。』

ソフィア「はいっ…」

『……これからも、ルイーズ家を…頼んだぞ。』

ソフィア「え…？は、はいっ！勿論でございますっ！」

時間だ。私は重々しい雰囲気を放っている扉を開けた。