王族の皆様に取り合いされてます。 (ページ12)

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『私は…わﾞだしはっ…！！王族なんかに生まれたことがっ…つﾞらいﾞっ…！！！！』

その瞬間、私はサンジさんの温もりに包まれた。

『っえ…？』

サンジ「辛かったな、Aちゃん。ここまでよく頑張った。もう大丈夫だ。…俺がいる限り、辛い思いはさせねェ。」

『…！…何故…何故見ず知らずの私にここまでしてくれるんだ？』

色んな人に裏切られ、冷たい目で見られ、誰にも必要とされず期待もされなかった私にはサンジさんの優しさが分からない部分があった。
もしかしたら何か裏があるんじゃないか、なんて思ってしまう。
…きっとサンジさんは、本当に優しい人なのだろう。
それを疑ってしまうなんて、私は最低だ。
サンジさんはゆっくり離れ、私と目を合わせる。

サンジ「俺は、女の涙を疑わねェ。」

『…！！！』

視界が滲む。
目の奥が熱くなる。
そうか…この人は信じてもいい人なんだ。
今までの人達とは違うんだ。
またサンジさんの温もりに包まれる。
人の温もり。人の鼓動。
何年振りだろうか。
サンジさんはずっと頭を撫でてくれている。
涙が止まらない。
サンジさんと再び目を合わせ、私はサンジさんの手をとる。
そして深呼吸をし、精一杯の感謝を込めて。

『…あﾞりがどうっ…！！！』

サンジさんは微笑み、また私を包み込んでくれた。
その時、1人の人が声をかけてきた。

イチジ「こんな所に居たのか、サンジ。A。」

サンジ「…何の用だ、イチジ。」

さっきとは違う低い声で相手を威嚇するサンジさん。
先程の赤い髪の人だ。

イチジ「そこのAに話がある。どけサンジ、邪魔だ。」

『私に…？』

何を言われるか分からない恐怖が私を襲った。
次にイチジさんの口から出された言葉に、私は耳を疑った。

イチジ「お前の過去の話をしてやろう。」