王族の皆様に取り合いされてます。 (ページ11)

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サンジ「それは違ェんじゃねェか、Aちゃん」

…完全に1人だと、油断していた。

『…！！サンジさん…！！』

サンジさんは私の隣に来るとゆっくりと座る。
私はドレスの裾をきゅっと強く握り締める。

『……私を、嘲笑いにでも来たのですか。』

情けない姿を見られた恥ずかしさ、悔しさで唇を強く噛む。

サンジ「ははっ、そんな事するわけねェだろ？」

暫くの間沈黙が流れる。
それを破ったのはサンジさんだった。

サンジ「…俺もさ、出来損ないって言われてきたんだ。蹴られたり殴られたり閉じ込められたり、酷かったな、あの時は。」

ぽつりぽつりと話し始めるサンジさん。

『…そうか。サンジさんも辛い思いをされてきたのだな。』

すると何を思ったのか、サンジさんは私の頭の上に手を置いた。

『…？』

サンジ「Aちゃん、今すげェ辛いだろ。1人で抱え込まないでくれ。今は俺がいる。吐き出しちまえば、少しは楽になると思うぜ？」

そう言って優しく微笑むサンジさん。
その時私の中の糸が切れる音がした。

『っ…！！……私、私はっ…！！』

今まで我慢してきた涙が一気に流れ出す。

『私はっ……ずっと、使えないって言われてきて…出来損ないって、ルイーズ家の失敗作だって…！！言われてきたんだっ…！！』

自分の過去が蘇る。
鞭で叩かれ、蹴られ、殴られ…。
散々な記憶だ。

『っ…出来損ないなりに努力したんだっ…！！少しでも役に立てるようにっ…お母様やお父様に、これ以上失望されないようにっ…！！でもっ…何の役にも立てなかった…！！』

サンジさんは黙って聞いてくれている。
それが更に私の涙を誘う。

『私は…わﾞだしはっ…！！王族なんかに生まれたことがっ…つﾞらいﾞっ…！！！！』