私事ですが、

雄叫び ページ11

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『 えっ…あ、そうですよね、ごめんなさい 』







思いがけない言葉に、体が反射的に動く。


荷物をパッと片付けてベンチから出ようとすると、またその人に止められた。







「 あ、一応勝手に入られた方とかは報告しなきゃいけないんで着いてきてもらえますか 」


『 え、そうなんですか… 』







…………うん、多分この人村上選手だよね。


帽子かぶってないとこあんまり見たことないから確信はできないけど、お顔がそっくり。




でも、翔平くんちゃんと伝えてるって言ってたのになぁ。


…ちょっと待って。


伝えたって言ってたけど、監督とコーチの方だけって言ってた気が。




相変わらずどっか抜けてるんだから…！！




いそいそと村上選手についていき、グラウンドの端っこを通りながら戻る。


うわぁ…選手の方達にめっちゃ見られてる…


カメラからは映ってないけど、めっっっっちゃ見られてる…




そのまま帰ったらよかったかな、そう思って歩いていた時だった。




翔平くんが、そこそこダッシュで向かってきたのだ。


そして







「 ムネ、何やってんの？ 」


「 部外者の方が勝手に入ってたんで連れて行ってるんす 」


「 …………は？ 」


「 …ん？ 」







まずい、まずいまずい。


翔平くん怒ってる。


いやあなたが選手の方達に言わなかったからなんだけど！？




お互いが意味わからない、という空気になったところを翔平くんの衝撃の一言で切り裂いた。







「 部外者じゃないって。俺の奥さんなんだけど 」







そう言って、翔平くんは私の肩をぐいっと抱き寄せた。


その光景を見て、思っていた通り村上選手は混乱する。







「 …………え？ 」


「 俺の。奥さん 」


『 大谷Aと申します…一応、妻です… 』


「 …ｴｯ 」







一応って何、一応って。とか突っ込んでくる翔平くんの声は、村上選手の雄叫びによってかき消された。




黙ってたわけじゃないんです…ごめんね村上選手。




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