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Aが通っているのは幼稚舎から大学までの一貫校、カトリック系の女子校。
元は華族の令嬢の為に建てられた、所謂お嬢様学校である。
「Aさん、御機嫌好う」
「A、御機嫌好う」
高等部の校舎へ続く道。
Aが口を開く前に口々に声を掛けられるのは高等部に進学してから日常茶飯事だ。
もっとも、高等部以前もこの光景が繰り広げられていたわけだが。
Aが通り過ぎた後、乙女達は囁き合う。
「今日もお美しいわね」
「ええ、上級生のお姉様方もAさんに夢中よ」
「……あら、でもお父様もお母様も変わってらっしゃるのでしょう?お父様は地球と、お母様は古文書と本気で婚姻なさろうとしたって…」
「まあ、それは事実だけど。秋霖様は外国語が堪能でいらっしゃるし、深雪様も研究者として有名ですもの。あの方達を本気で悪く言う方なんて殆どいないんじゃないかしら」
「そういう方の方が嫌われてしまうものね。でもそれを抜きにしても、気持ちの良いご家族でいらっしゃるわ」
「わたくしの父も"Aの奇祭なら毎日だって行くのに"って零していたわ」
「あら、わたくしの家もそうよ。父も母も"またおかしなことをして"って口では言いながら、上機嫌で出掛けては楽しそうに帰ってくるんだから」
「Aの家の方は本当に楽しい方ばかりだわ。あの方々が社交界を仕切ってくだされば楽しくなるのに」
油断をすれば足元を掬われる上流階級。
しかし、A家は風変わりでも、内心どの家からも人気は高かった。
休み時間。
Aが中庭を歩いている時にそれは起きた。
緑色の光が辺りを染め、Aは立ち止まった。
中庭にいた乙女達も空を見上げたり、辺りを見回したりしている。
それから訳も分からないまま、乙女達─いや、全人類が─────石になった。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時