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「…まだまだ修行が足りないわね、千空。シュラフが少し冷たいわ」
「査定厳しいな」
完全に日が暮れるまで並んでシュラフに入る。
年頃の男女の距離感ではないけど、千空はわたくしがぴったりくっついても何も言わない。
「お互い高校生ね、早いものだわ。…学校はいかが?」
「科学部乗っ取った」
「まあ、流石千空。わたくしは変わり映えしない毎日よ。でも今くらいから婚約する方が出始めるでしょうね」
「どんな世界だよ…」
千空はシュラフを抜け出すと望遠鏡を覗き込む。
わたくしもシュラフを抜け出すとブランケットを羽織って隣に並んだ。ちゃんと千空の肩にブランケットをかけるお返しをして。
「パーティーでは結構声を掛けられるのよ」
少し得意げに言うと、千空はハッと鼻で笑う。
「言語オタクの相手がお坊っちゃん達につとまるかよ。宇宙人と話そうって考えてるような女だぞ」
「ふふ、それもそうね。でもわたくしがどなたかとお付き合いしたら、もう快適天体観測は出来なくなるかしら」
話の流れでつい踏み込んだ話をしてしまった。千空が望遠鏡から顔を離してこちらを見る。
「……そういう話来てんのか」
「縁談が持ち込まれることはしょっちゅうよ。でもお断りしてるわ。……本当に欲しい方からお話を待っているの」
もう勝負に出てしまった。
この関係が破綻するとしても、後には引けない。
まあ、千空がこの話を続けるならだけど。
「……好きな奴いたのか」
意外にも千空は話を引き伸ばしてきた。
「ええ、望みは薄いけど。わたくしなんか目に入ってないの。ずっとこっちに夢中」
すっと空を指差す。
名言してないから逃げ道は残してあるけど、これはあからさまだろう。
ずっと宇宙に夢中な男が隣にいるのだから。
案の定こちらを見て唖然としている千空。
さて、ここらで誤魔化さなければ。
悪戯っぽい笑みを浮かべて口を開くと。
「あ゙ー……お姫様に先に言われるなんてな」
情けねえ、とガシガシと頭をかく千空。
「……俺も好きだ。ガキの頃ひと目見た日からずっと」
返答が出来ずにポカンとしてしまったわたくしは、ここが社交界なら淑女失格だっただろう。
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文字数あと2000くらい欲しいですね。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時