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「君を生かしておけば、必ず文明を発展させてしまう。だから今ここで誓ってくれないか。科学を捨てると」
「無理だな、それは」
即答した千空に、少し残念そうな笑みを浮かべる司。
「…うん、君はそう答えると思ったよ」
司はそう言うとAの首筋から武器を外し、代わりに自分の手を添えた。
ゴキッと嫌な音がして、前方に倒れたAの身体を千空が慌てて抱きとめる。
「A!Aッ!!」
揺すっても返事はない。
「おい!なんでAを殺した!!」
表情と声色に怒気を滲ませて問う千空に対して、司は全く表情を変えない。
「Aは復活液のレシピを細かく聞いてしまっているし、生かしておいては厄介そうだからね。……さて、次は君の番だ」
千空はAを地面に寝かせると、重苦しい溜息をついて首をゴキゴキと鳴らした。
「一撃でやれよ。血ィ流して粘んのはお互い非合理的だろが」
「Aと同じように、頸神経を一撃で砕く。苦しみは与えない。……千空、もしも俺達が3700年前に出会っていたら、初めての友達になれたのかもしれない」
「さァ、どうだろうな」
その言葉を最後に、またゴキリと嫌な音が響いた。
「千空くーん!」
「千空!木を集めてきたぞー!」
大樹と杠が戻ってくると、千空とAが倒れていた。
「千空!」
「Aちゃん!」
千空を大樹が、Aを杠が抱き上げる。
呼び掛けても返事はない。
「もう死んでる。頸神経を一撃で砕いたから苦しんではいないよ。せめて友達の君達が手厚く葬ってあげてくれ」
そう言い残して司は早々に立ち去った。
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司の性格が少々慎重になりました。
あれだけ細かくレシピを聞いてしまったら、千空がいなくても復活液を作ることは不可能とは言えないんじゃないかと思って。
千空の台詞も改変しています。
司はこんな世界じゃなければ2人と仲良くできたと思っているので、2人のことは嫌いではありません。
しかし、千空は目の前で好きな子を殺されたので、あのような返答になりました。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時