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「…凄えな、量だけは。どんなチート体力してやがんだ、大樹テメー」
千空の感心したような、呆れたような声がする。
大樹が目覚めてから、食料調達の効率は目覚ましく────
「トリカブト!誰殺すんだバカ!」
───とはいかなかったようだ。
「うまい!何の味付けだこれはー!!」
「海水からとった、ただの塩だ。人間塩ふりゃ大抵のもんは食える。塩漬けの保存食にも必須だし、原始人類最大の発明だな」
「ふふ、千空のおかげでだいぶ生活が楽ね。大樹も採集お疲れ様」
「ああ、Aもな!立派な鹿を一人で仕留めるなんてすごいぞ!」
「ふふ、足を怪我した鹿がいたから、手近な石で頭をガツンとね」
「なんと……」
「おっかねえお姫様だな。手加減無しかよ……」
男性陣から恐ろしいものを見るような視線を向けられた。
大樹が逆サイド採集に行き、千空もふらっとどこかに出かけたかと思えば、戻るなりワイン作りを始めた。
「まあ、密造酒?」
「飲むためじゃねえよ。ナイタール液用だ」
「ないたーる」
「……工業用の腐食液だ」
「ふしょくえき」
「あ゙ー、お姫様は実験ノータッチな上にカリキュラムが独特過ぎて、雑頭の大樹より科学はからっきしだったな……。ナイタールで石化復活薬を作ろうって実験だ、今までやってたのと変わりねえよ」
科学は全く分からないけど───
「千空と大樹で実験を優先させた方が良い気がするわ」
「は?」
「成功する気がするの。二人が揃ったから」
わたくしの勘って当たるのよ、と微笑んでみせても千空は難しい顔だ。
「生活はどうすんだ」
「力仕事はお願いすると思うけど、食はどうにかなるわ」
わたくしは二人を見据える。この実験には人類の未来が懸かっているのだ。
「千空、大樹。貴方達の生活は私が支えるわ。……だから人類の未来を頼みます」
手をついて深々と頭を下げる。
「A!頭を上げてくれ…!」
「柄にもねえことすんな…!」
ほれ、と千空に肩を掴まれ、顔を上げさせられる。
「……わたくし、そんなに普段から偉そう?」
「自信満々には見えるけど、偉そうではないぞ!ただ友達に頭を下げられるのは嫌だ!」
「デカブツの言う通りだ。テメーに頭下げられても一ミリも嬉しくねえよ。……絶対やり遂げてやる、待ってろ」
力強い宣言にわたくしは黙って頷いた。この二人なら絶対成し遂げられる。
そう信じてる。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時