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千空はルリに話を聞こうとしたが、金狼は断固としてそれを許そうとしない。
「ルールはルールだ‼」
……本当にこの人は頭が固いわね。
「……ルリが助かるとしても、そこをどく気はないの?」
「…余所者を入れないというのは決まりだ」
「ルールにとらわれずに、自分の頭で少しは考えてみなさいな。それとも、思考する頭もルールにあげてしまったの?」
金狼の顔に怒りの表情が見えるけど、怒りたいのはこっちの方よ。自分の笑みが冷ややかなものになっているのが鏡を見なくても分かる。
「A、科学の万能薬が完成すりゃ通らざるをえねえんだ。とっとと作っちまおうぜ」
「一旦引くぞ、お姫様。喧嘩はまた今度にしろ」
クロムに言われ、千空に手を引かれて渋々その場を立ち去ることになってしまった。
「金狼。…お前の真面目さは嫌いじゃないけど、頭の固さが足を引っ張ることも覚えておきなさい」
そんな捨て台詞を残して。
「お姫様は金狼と相性悪いなァ」
「別に嫌いなわけじゃないのよ。……あの頭の固さが命取りになる未来が見えているから腹が立つだけ」
「金狼は私には及ばないが、それでも立派な戦士だぞ?」
「腕っぷしの問題じゃないの。皆にはこのまま素直な子で生きていってほしいけどね…」
性格が悪くないと生き残れない世界もあるのよ。
気を取り直して、いよいよ鉄作り。
「さっき川で集めた黒い砂が、鉄ってのになるんだね?」
「ああ、砂鉄4に炭1ちょい混ぜて焼くだけだ」
「なんだ、簡単じゃねぇか!」
「ククク、そうは甘かねえ。土器焼くのとはわけが違う」
「あら、そうなの?」
「ああ。木ィ燃やした火の温度ってのは、せいぜいが700度ってとこだ。だが砂鉄を鉄にする製鉄に必要な温度は1500度」
「…全く足りないじゃあないか。どうするんだ?」
「フーフーしまくる。じゃんじゃん酸素ブチ込むしかねえ。ひっったすら空気送り続けて、炎の攻撃力を700から1500にバイキルトさせんだよ!!」
そう言って千空が皆に投げ渡したのは、風を送る袋のようなもの。
「風を送るのか!こんな便利なものがあれば、私一人でもいけそうだ!」
「寝言はやってから言え。人手がいくらあっても足んねえよ」
「千空がそこまで言うなら相当大変なんでしょうね…」
「箸より重たいもの持ったことねえお姫様にはキツいかもなァ」
「だからってパスは出来ないでしょ。やれるだけやってみるわ」
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時