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「君達二人に改めて礼を言おう。お陰で助かった」
女の子─コハクは直ぐに立ち上がると、わたくし達に礼を述べた。
「殆ど千空のお手柄よ。わたくしはA、怪我はないみたいで何よりだわ」
「俺は千空。テメーいきなり惚れたはれたかよ、この非常時によ…」
「そんな話は微塵もしていない!」
千空の発言を全力で否定するコハク。
「千空に恋してしまったとしかとれない発言だったわよ?」
「違う!気に入ったから協力しようと言っているんだ!!」
「だったら素直にそう言いなさい。わたくしじゃなかったら今頃修羅場よ」
「あー、それだったらおありがてえ。恋愛脳は一番非合理的なトラブルの種だからな」
千空、その発言もわたくしじゃなかったら修羅場発生よ。
完全に日が落ちたので、森の中で一晩明かすことになった。
火を焚くとわたくしと千空は寝袋に潜り込む。
一方、コハクは木に凭れて武器を構えたまま目を閉じていた。
「……剣構える寝相の新人類かよ」
「恋愛脳がどうとか言うからだ!」
コハクは目を開ける。
「ハ!生き様は気に入ったが、信用したわけではないのでな。己の身は己で護って生きてきた癖だ。あまり気に留めるな」
「貴女に武器を構えられたら、こっちが安心して寝られないわ」
「む、そうか……」
「おもむろに雌ライオン襲うほど勇者じゃねえから0.1秒でも早く寝やがれ。体力が無駄だ」
「雌ライオン!!口の悪さは異次元だな君は……」
「テメーはどう見ても雌ライオンだろ。……それに俺は襲う相手はもう決めてんだよ」
千空は身体を起こすと、わたくしの方ににじり寄ってくる。
「…あら、わたくしに恨みでもあったの?」
「違えーよ。襲うっつーのはこっちの意味だ」
徐々に近付いてくる千空の顔に、ぎゅっと目を閉じる。口にかさついた柔らかいものが触れ、唇を割って何かが侵入してくる。何かに口内を弄られ、酸欠で頭がぼんやりする。
やっとの思いで、千空の肩を探り当ててたたくと漸く顔が離される。
「コハクが見てっから、この先はお預けだな」
そう言って格好良い顔で笑うのはずるい。
「人前でイチャつくな!!」
顔を赤らめたコハクの大声が響いた。
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3巻に突入しました。
話数も折り返し地点にきましたね。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時