霊柱は胡散臭い【鬼滅の刃】 (ページ30)

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二十九話花の死相ページ30

「あっカナエさん。」

「太刀川くん！」

見慣れた後ろ姿を発見し声をかければカナエさんは笑顔で返事をしてくれる。

「任務っすか？」

「えぇ、女性を食べる鬼の討伐。もしかしたら十二鬼月かもしれないの。」

「なるほどなぁ……」

「また姉さんに話しかけて……何企んでるんですか？」

「いたのかチビ助。」

カナエさんの影に隠れて見えなかったが不機嫌な顔をする胡蝶妹もいた。

「胡蝶妹も任務か？」

「はい。姉さんとは別ですがそこまで時間はかからない任務かと」

「そうか……」

考え込めばカナエさんは不思議そうに、胡蝶妹は訝しそうに俺を見る。

「カナエさん。今回の任務は今まで以上に気をつけた方がいい。」

「？」

「あんたは死相がでてる」

「ちょっと！？」

胡蝶妹が怒った表情で俺に詰め寄って来るがそれをいなす。
カナエさんは真剣そうな表情で話の続きを催促してくる。

死に近ずいた者に現れる死相はカナエさんに現れていた。現に彼女の守護霊の力がいつもより強くなっている。それは最後の悪あがきと言っても過言ではない。

「特にここだ。」

「胸？」

「厳密には"肺"だ。」

自分の胸を指さしてカナエさんにわかりやすく大体の死因の箇所を伝える。死の原因となる場所には濃く死相が現れる。

「血鬼術の類か……呼吸は気をつけた方がいい」

「分かったわ。」

「姉さん！？なんで…」

そんな不確かな情報を信じるの？とでも言いたそうな顔をする胡蝶妹。
しかし今回の件は彼女も無関係では無い。

「胡蝶妹。お前はなるべく早く終わらせていつでも治療出来るように準備しとけ。」

「何を…？」

「姉を救うのは妹だろ？」

「！」

するとはっとする胡蝶妹は小さな拳を握り締めて下を向いた。

「……まぁ、これは胡散臭い霊媒師からの不確かな警告だ。信じるのも信じないのもアンタらの自由ってこと。」

「あら、信じるわよ。だって頼りになる霊柱さんの信用性のある霊感による警告だもの。」

「………そうきたか。」

なんでそんなことを恥ずかしがらずにスラスラ言えちゃうのだろうか。

おそらく俺はこの人に一生敵わない。