わすれなぐさ (ページ5)

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ごじゅうごページ5

小『そうだ、ジェシーまっすーに話したいことって？』

小山がそういった途端ジェシーの顔は一気に深刻そうになる。

ジ『Aのことなんですけど』

言いにくそうにもごもごとするジェシー。ジェシーもこんなふうに歯切れが悪くなることあるのかと呑気に思う。

「うん」

ジ『俺らも、連絡が取れなくなっちゃって』

LINEは返信ないし、グループLINEは既読つくくらいでなにも音沙汰がないし電話にも出ない、マネージャーに聞いても箝口令がしかれているから。としか言われないらしい。

「ごめん、おれがジェシー達通じて連絡取ろうとしたから」

ジ『いや増田くんが謝ることじゃないんで、気にしないでください』

困ったように眉を下げたジェシー。そういう顔するのを見るのは初めてだった。交流が深い訳では無いから、笑ってるところしか知らなかったし。

「メンバーもおれも避けないといけないくらいのことってなんだろう」

小『え？』

「ただ純粋に体調不良に乗じておれと別れたいってなったけど、言い出せないってなったんならおれを避ければいいだけの話で、わざわざメンバーを避ける理由にはなんなくない？」

ジ『確かにそうっすね』

小山も大きく頷くのが見える。ジェシーはやっぱり眉を下げていて、おれはきっとすっげえ情けない顔をしてる。

小『責任感強い子だもんね』

ジ『誰か、頼れる人が近くにいてくれるといいんですけど』

小『確かに、そうだよな』

メンバーもまっすーも今頼れないわけだし、って小山が呟く。それにジェシーも強く頷く。

ジ『実家、とかっすかね？』
『俺らにも増田くんにも頼れないってなると、実家がいちばん良さそう』

小『まっすー実家は？行ったことあんの？』

｢うん、3回くらいお邪魔した｣

次のオフ行ってみたらいいじゃんって小山。必要だったら地図書きますよってジェシー。
もし、行ったとして。Aのご両親に｢二度と顔を見せるな｣って追い返されたらどうしよう。
もしかしたら、ストーカーの類だと思われて通報されたりするかもしれない。

｢うーん｣

小『1回会ってちゃんと説明してもらってきた方がいいと思うよ、おれは』

ジ『俺もそう思います』

小『どうしてもまっすーに話したくないって言われたらジェシーに聞いてもらったりすればいいじゃん』

ジ『おれっすか？！責任重大っすね』

ジェシーの大きな笑い声が響いて、おれの頬も久しぶりに少し緩んだ気がした。
、、、Aの実家、行ってみようかな。