ごじゅう ページ50
『ぱぱ！ままてびりでてる！』
おれの人差し指をぐいぐいと引っ張る小さな手と誰かさんと同じく大きすぎる声で目が覚める。
順番を間違えて覚えてしまっている単語は何回直しても、何回練習しても結局戻ってしまって、「ぱぱに似たんだね」なんて笑われたっけ。
小さくて軽い身体を抱きあげる。抱っこが片手で事足りてしまうほど小さなその身体に、小さくともものすごいはやさで成長しているそのスピードに、毎回驚いてしまう。
「ままどこいた？」
『えーっとねえ、これ！』
液晶に映し出される母を見て『ままがんばえー』と声をかける天使の横顔は何度見てもおれの小さな頃の写真と瓜二つ。カメラの向こう側でグループカラーを存分に活かしたクールな曲を歌い上げる姿を見て「本当にわたしの血は入ってるんだろうか」と眉を八の字にするのを思い出して頬が緩む。おれ的には正面から見ればそっくりだと思うけど。
「ただいま」
玄関で物音と声がすると、腕の中の天使はものすごい勢いで玄関の方へと身を捩って大きすぎる声で『まま！』と叫ぶ。
「はーいままだよ、ただいま」
「おかえり、おつかれ」
「ぱぱもご飯とかありがとね」
ちゃんと食べた？とおれの腕の中を気にする姿やおれをぱぱと呼ぶ姿には、母親になる前の子どもみたいなAの面影はなくって寂しくなる。成長したんだな。
『いまね、ままみてた』
「やだー、恥ずかしいじゃん」
照れくさそうに頬を搔くのは出会った時からずっとしている癖で、見慣れたそれになんだか安心した。
舌っ足らずな口調で一生懸命話す腕の中の子は身を乗り出してAに話していて。
Aを好きで好きで仕方ないところおれに似たなと頬が緩むと同時にライバル心を抱く。負けねえよ。
「もうたかくんって呼ばねえの？」
「え？」
「寂しいんだけど」
*
*
「たかくん」
ユサユサと揺さぶられて瞼を開けると視界には幾分か幼くなったA。それにたかくんって呼んでくれる。
「餃子温めたから食べよ」
「よびかた、」
「うん？」
「たかくんって」
「いつもそうじゃん」
きょとんとした様子のAは、子どもと同じ顔で。全然おれ似じゃないじゃんと笑えてきてしまうと同時にあれが夢だったと理解した。幸せすぎる夢だった。
*
近い将来夢ではなく現実で会うことになるであろうAにそっくりな子との毎日を想像して胸が弾む。
絶対ぱぱとままが幸せにするし、絶対ぱぱが勝つからね。
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ねぎ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん！終わらせてみました！ありがとうございます〜(; ;)わたしも恋しくなってきたので、またいつかこの2人でお話を書けたらなと思います！読んでいただきありがとうございました！別作品もよろしくお願いします！ (2022年6月21日 8時) (
レス) id: ad33ce073d (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ついに終わってしまわれたのですね…！！！バタバタしていて、読むのが遅くなり、最終回とても寂しいです… 。もしまた機会があれば、続編等ご検討ください…！！！別作品の更新も楽しみにしております！ (2022年5月22日 22時) (レス) @page50 id: a9e1723e86 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - 由乃（よしの）さん» わー！ありがとうございます！！！楽しんでいただけるような続きを書けるようにがんばります！！ (2022年1月11日 1時) (レス) id: 8a17a4a235 (このIDを非表示/違反報告)
由乃（よしの）(プロフ) - きゃあーたかくんがあああ！ 続き楽しみです！！ (2022年1月10日 21時) (レス) @page33 id: a4b9ddb561 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - はなさん» え〜！ありがとうございます！！これからもバンバン出します！！！ (2022年1月8日 0時) (レス) id: 8a17a4a235 (このIDを非表示/違反報告)
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