なな ページ7
「なん、え、」
「Aちゃん、さ」
突然の出来事に困惑するわたしと、何かを決めたように息を吸う増田くん。
「お願い、おれ以外の男部屋にあげないで」
「、、え」
「おれ不安になるから」
ぐっと腰を引かれて抱き締められて。目の前には、増田くんの鎖骨。
頬に触れる素肌からは、増田くんの体温と、どくん、どくん、なんて早い鼓動の音。
「はい、」
「あとあんまおれ以外に触られないで」
さっきから、増田くんに言われる言葉たち全部が、わたしのことを好きだと遠回しに伝えてきている気がして。
「Aちゃんからも触らないで」
「あの、」
「うん」
「自意識過剰、だったらすみません」
なに?とわたしを見下ろす増田くんの目は、見たことないくらい妖艶で。どくん、とわたしの胸も脈打ちはじめる。
「それって、」
「うん、おれAちゃんのことすき」
だれにも、渡したくないくらいすきだよ
そう言ってまた腕に力を込めて。少し苦しい。
「Aちゃん、おれのこと好きなのかなって思ってた、んだけど、ジェシーだけ部屋にあげてるし、彼氏みたいなこと言われてるし」
おれだけだと思ったのに、って口をふくらませてからおでこをこつんと重ねてくる。
「くやしくてさ、ごめん、ちょっと強引すぎた
ひとまわりも違うのに、こんな余裕なくておれだっさいね」
へへて困ったように笑うと、やっぱりどう考えても同級生くらいにしか見えない。若いなあ。いや違う、童顔なんだよなあ、老けなさすぎるよ。
「増田くん」
「うん」
「わたしも増田くんがすきです」
首に腕を回して、目の前の柔らかそうな唇に自分のを触れさせる。
「ンフ、おれ幸せすぎてしんじゃったらごめんね」
「絶対だめです」
「はあい」
愛おしそうにひとの宝物を触るみたいに、そっとやさしくほっぺたを撫でられて。
さっき強引にキスしてきた人とは思えないよ。
「ね、A」
初めて呼ばれるよびすてに、また胸が跳ねる。
そんなふうに優しい声音でいわれたら、わたしの名前がとっても綺麗なものなような気がしてくるから不思議だ。
呑気にそんなことを考えてると視界が90度、回転して。
視界には、色っぽい顔をした増田くんだけ。
「がっつきすぎって嫌いになんないでね」
優しくするから、と砂糖を煮つめたみたいな甘い声で耳元で囁かれて。うなずくしかできなかった。
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ねぎ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん!終わらせてみました!ありがとうございます〜(; ;)わたしも恋しくなってきたので、またいつかこの2人でお話を書けたらなと思います!読んでいただきありがとうございました!別作品もよろしくお願いします! (2022年6月21日 8時) (レス) id: ad33ce073d (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ついに終わってしまわれたのですね…!!!バタバタしていて、読むのが遅くなり、最終回とても寂しいです… 。もしまた機会があれば、続編等ご検討ください…!!!別作品の更新も楽しみにしております! (2022年5月22日 22時) (レス) @page50 id: a9e1723e86 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - 由乃(よしの)さん» わー!ありがとうございます!!!楽しんでいただけるような続きを書けるようにがんばります!! (2022年1月11日 1時) (レス) id: 8a17a4a235 (このIDを非表示/違反報告)
由乃(よしの)(プロフ) - きゃあーたかくんがあああ! 続き楽しみです!! (2022年1月10日 21時) (レス) @page33 id: a4b9ddb561 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ(プロフ) - はなさん» え〜!ありがとうございます!!これからもバンバン出します!!! (2022年1月8日 0時) (レス) id: 8a17a4a235 (このIDを非表示/違反報告)
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