しわあわせ９ ページ33
『……っいて』
「アンタが盗みをする奴じゃないって最初から分かってる。けど……そんな事より」
突然、呼吸が荒くなる真一郎さん。
え、どうした？不整脈か、何だ言ってみろ。
「いきなりアンタが目の前に現れて……それにそんな格好で来るなんて気分がおかしくなっちまいそうだ」
『……ん？』
突然何を言い出すのかと思えば私の服装の事。
私の格好を見るなり、ハァハァ…とため息をついている。
「だから、そのパーカー！何か……えろくね？」
『おっと、どこを見てるのかな』
まぁ今日は暑いわけで……それも夜なので私は結構ダボダボのパーカー1枚に下は履かずにここへ来た。
任務が終わったら直ぐに帰ろうと思っていたので、服装なんか別段気にしていなかった。
でもそれが真一郎さんの好み(？)だったらしく、何か変に興奮している。
別の意味で危険な状況だ。
「……無理、抑えらんねぇ」
『おいおいおい、自我を保て！黒歴史になるぞ！』
スルッと真一郎さんの手が私の足を沿って上へ上がってきた。
『……どうかご慈悲を！』
「あー、無理。好き…本当に早く俺のモンになっちまえよ」
『オーマイガー、こんな事になるとは』
スルスルと私の脚を撫でる温かみのある手を避けようと、努めたが後ろにある壁が邪魔で仕方がない。
この任務、私は生きて帰れるのだろうか。
「…っ、待って…マジでやばいかも。キスしたい」
『すぐそうなる！』
理性をどこに置いてきた。
仮にこれが神とやらの催眠ではなく、本当に真一郎さんが私に一目惚れをしてしまったとしたのなら……
そっちの方が余っ程ヤバいやつである。
素でコレなのは、犯罪レベルのキモさ。
だから、私は真一郎さんが何らかの催眠にかかっていると願いたかったのだ。
「……ごめっ」
『ん"ん…っ！？』
いきなり後頭部を押さえられて、荒々しく唇を重ねてきた真一郎さん。
そう、結局こうなってしまったのも全部催眠のせいだ。
あぁ、可哀想に。
イケメンで性格も良くて、男前な人が私のような女に夢中になっている姿なんか見たくなかったな。
神よ、私はアンタを呪うぞ。
苦しさに私が身を震わせるのを感じたのか真一郎さんは、尖らせた舌で唇をなぞり上げると、口を離した。
「…っ、は……ごめん」
『…許すまじ』
彼が無理やりキスをしてきた事には、もう怒りなどない。
呆れだ。それよりも、これからどうやって店を出ようかと考えている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 679人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
あのー、やめてもらっていいすか？【東京卍リベンジャーズ】番外編とif ２
あのー、やめてもらっていいすか？【東京卍リベンジャーズ】3
あのー、やめてもらっていいすか？【東京卍リベンジャーズ】2もっと見る
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光と慈雨(プロフ) - テンさん» あ、気づきましたか！ (2021年9月11日 7時) (
レス) id: 51906293e9 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - 本編の方とかこの番外編見て思ったのですが、もしや作者さんクリー〇ハイプ好きですね？ (2021年9月10日 22時) (レス) id: 75ef3128fa (このIDを非表示/違反報告)
れん - リクエスト受けていただきありがとうございます！もう1つリクエストなんですが、ココくんに照れてほしいです！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 9da8997a87 (このIDを非表示/違反報告)
riri(プロフ) - 誤字が多くてすみません。 (2021年9月7日 20時) (レス) id: 64da3cbeaf (このIDを非表示/違反報告)
riri(プロフ) - せてもらってます！！夢主ちゃんが好きすぎて本編もifも毎日読み返してます！！それでダメ元で一つリクエストしたいのですが、、フィリピンマイキーに会ってしまった夢主（マイキーと同い年）に会いに行くみたいな設定で書いていただけないでしょうか！！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: 64da3cbeaf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：光と慈雨
| 作者ホームページ：http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2021年8月28日 17時
