一虎くん ページ21
一虎に刺されたことなんて、もはや忘れていた。
一虎のことは気にいってるし、刺されたくらいじゃAちゃんは怒らないよ〜!
そして、あの時の出来事を鮮明に思い出す。
血のハロウィンとやらが開催されている最中、いつもより目の焦点が合ってない一虎を道端で見つけて私は飛びついた。
『一虎くぅん、そんな物騒なもの持って何処行くの?』
「離せ、殺すぞ?」
今から"マイキー"と戦いに行くとか言って、私から逃げようとする一虎。
こういう精神的に安定してねェやつに絡むのは大好きだった。
彼を抱きしめる力を強くして、がっちり羽交い締めにする。
私ぃ、一虎くんとガチプロレスしたいなぁ!
「いや…ちょ、マジで離して?俺、決戦に遅れるんだけど?」
『ん〜、じゃあさぁ…もっとしっかり抵抗しなよぉ』
私の腕をそのまま一虎の首に持って行って、ヘッドロックしてやると一虎は途端、うるさくなった。
「待って、ギブギブ!やめて…本当に死んじゃうって!」
私の腕をぺちぺちと叩いて、割と五月蝿かったのでそのまま解いてやった。
「力加減どうなってんだよお前!」
ハァハァと息を荒らげて、地面にへなへなと座り込んだ一虎は涙目で私を見つめてきた。
女顔負けのその行動に何かをそそられる。
『一虎くん、本当可愛い』
「ひぇ…」
『決戦なんてしょうも無いもの行かないでさぁ、私と遊ぼうよぉ〜!』
そう言って私は一虎が持ってるナイフを取り上げて、"ポーン"と空の彼方へ飛ばす。
それを見て、アイツはポロポロと涙を零していた。
え、どうした。
「俺の邪魔すんなよ…いつもいつも!美少女の皮を被ったゴリラの癖に…!」
『嫌だなぁ、ゴリラだなんて〜!そんなに褒めても何も出てこないぞ!』
「褒めてねェよ!」
何か気に触ったのか一虎は凄い形相で私を睨んできて
その後怒鳴り散らしてきたので私はひとまず、一虎から離れた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
非力一虎くんと別れて数時間後、私の目の前にボロボロで目に光がない一虎が現れた。
『どうしたのぉ?決戦どうだったぁ〜?』
スキップして一虎に近づくと
"グサッ"といきなり下腹に違和感が。
『んだコレ』
一虎に腹に突き刺されたものを引っこ抜くと、血も一緒にドバっと出てきた。
「さっさと、死ねよ」
『ごめ〜ん、私こんなんじゃ死なないんだぁ。すぐ血も止まるし』
「は…!?」
『あ、今失礼なこと考えたでしょ〜!もう!』
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のの - 三途出たら面白そう (2023年4月26日 23時) (レス) @page9 id: 45d6e93948 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 三途も出て欲しかったです (2022年12月18日 14時) (レス) @page8 id: d85abe7ad7 (このIDを非表示/違反報告)
奈々子 - ヒプマイバージョンも作って欲しいです飴村らむだにあわせたらぜったいおもしろそう (2022年7月31日 10時) (レス) @page15 id: 2f5361bf3f (このIDを非表示/違反報告)
M - ぶりっこかーうわぁって思いながら読んでみたら5ページ目で惚れましたありがとうございます (2022年6月30日 2時) (レス) @page5 id: 0bd2a9d625 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいんせちあ(プロフ) - あ"ーーーー!!!気になるぅ!!!! (2022年6月19日 18時) (レス) @page47 id: 2e29fc010d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2021年9月21日 22時