茶番劇 ページ29
『もう、柴くぅん……相変わらずの家族愛だねぇ!』
「…あ"?」
見ていて呆れた。
私は寝ていた体を起こして、チャーチベンチから立ち上がる。
そして、ゆっくり彼らがいるところに近づいた。
『おーい、タケミチ……生きてるか?』
私は、フラフラした状態で立っているタケミチの肩に手を置いてそう言う。
顔中アザだらけで血が滲んでいて、もはや顔の原型を留めていたなかった。
うん、どうしたらそんな状態になれるんだ?
『テメェら本当、勇気とか友情とか大好きだよな。三ツ谷きゅんも他人のためにそこまで本気になれるの凄いと思いますよ!私は無理無理!』
なんて侮蔑するかのようにそう言って、ケラケラ笑うと
「……何も知らねェやつが、東卍を語んなボケ」
とボロボロの三ツ谷に睨まれる。
柴にやられて余裕ないってのに、わざわざ私の一言に反応する三ツ谷も三ツ谷だ。
けれど、その殺意にも似たような……何かに激昂しているようなその瞳が私の何かを刺激した。
『いいね…その目、ゾクゾクする』
「いや、気持ち悪ィよ…てかアンタやっぱり性格偽ってたんだな」
"本性はマジでクズだな"
とニヤッと笑う三ツ谷。
きゃっ、クズ呼ばわりなんて酷い!
時すでに遅し……と言うか、もはや私は"ぶりっ子"のキャラでいた事を忘れていた。
それはあっちも分かっていたようで。
『まぁ、いいや……
私はボソッとそう呟いて目の前にいるデカブツを睨みつけた。
『なァ柴くん、さっきから石みてェに黙っちまってどうかしたのか?』
「……テメェ!」
『今頃かよ〜!酷いじゃん!』
柴は私が素に戻った途端、古の記憶が蘇ったようだ。
クスクスと声を押し殺して笑っている私を、忌まわしげに見ている。
『本当に変わってないね!八戒ちゃんと柚葉ちゃんとまだ喧嘩してんの?今どきDV?うわっ、気持ち悪ぅ!』
「黙れ、ゴリラ」
昔もコイツとこんな会話から始まったんだ。
公園で私が八戒ちゃんに暴力を振るってる柴大寿を見て、
"DVとか流行んねェぞ"と言うと……いきなり殴りかかってきた。
こんな風に______
荒々しく私の顔目掛けて拳が落ちてくる。
「……!?」
けれど、その拳が私の顔に当たることはまずなかった。
『オイオイ、何も言わずに殴んなよ。気が早い男はモテないぞ〜!』
「「……ボスを片手で止めた?!」」
さぁさぁ、茶番劇の始まり始まり〜!
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のの - 三途出たら面白そう (2023年4月26日 23時) (レス) @page9 id: 45d6e93948 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 三途も出て欲しかったです (2022年12月18日 14時) (レス) @page8 id: d85abe7ad7 (このIDを非表示/違反報告)
奈々子 - ヒプマイバージョンも作って欲しいです飴村らむだにあわせたらぜったいおもしろそう (2022年7月31日 10時) (レス) @page15 id: 2f5361bf3f (このIDを非表示/違反報告)
M - ぶりっこかーうわぁって思いながら読んでみたら5ページ目で惚れましたありがとうございます (2022年6月30日 2時) (レス) @page5 id: 0bd2a9d625 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいんせちあ(プロフ) - あ"ーーーー!!!気になるぅ!!!! (2022年6月19日 18時) (レス) @page47 id: 2e29fc010d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2021年9月21日 22時