わっつはっぷん ページ40
『おいぃぃ、ここで寝ちゃダメだって!』
このまま馬車の中に寝られては御者さんがあまりに可哀想なので、無理やりディオを引っ張り出した。
地面に降りた途端、倒れ込みそうになるディオを咄嗟に支える。
酔って潤んだ緑色の瞳は、相変わらず私の方を向いていてじれったい。
『玄関まで贈るんで、そこからは自分で歩いてよね』
"よし行くぞディオくん"と、言って彼を支えながらジョースター邸まで歩く。
ここから家までの距離なんて全然遠くないのに、人を一人支えているだけでいつもの倍はスピードが遅くなる。
「……A」
『何でしょう』
大の男一人を支えながら歩くのは、結構厳しい。
どうしてもふらついてしまう。
それに今日は動きにくいドレスなので尚更だった。
勿論だがこんな時に名前を呼ばれても、ご丁寧には対応できない。
「お前みたいな女に一生、男なんかできないだろ」
『なんか、すごいディスられた』
私は汗を垂らしながら、ディオをお家まで運んであげているというのに酷いこと言うぜ。
『でも確かに、ずっと独り身はちょっと寂しいかもね』
「……不服だが、俺が貰ってやろうか」
『何だそれ、不服なら言うな』
ディオが普段絶対に言わない冗談に、思わず吹き出しそうになる。
酔うと誰にでもそんなこと言っちゃうの?
本気にする人いるからやめた方いいよ。
そんな巫山戯た事を言い合っていたら、ジョースター邸に到着。
私はゆっくりとディオから離れる。
『じゃーね、ディオくん。おやすみ』
相手の顔を見ずに、ひらっと手を振って帰ろうとした時だった___
『うげぇっ』
腕とクビレあたりを乱暴に掴まれて、その後は一体何が起きたか分からない。
気づいたら、覚えのあるような湿った感触が唇に伝っていた。
強引に押し付けられた唇に、体全体が圧迫され息ができない。
『……っは』
しばらくして、離されて現状を理解するまでには時間がかかった。
自分の少し乱れた呼吸と熱くなった顔を感じると、困惑がまた私を襲う。
『……え、え?』
昔、私がディオにした事と同じような事が今起こったような。
これを因果応報とでもいうのだろうか。
若しくは何かの悪い夢か?いや、夢であれ。
何処か満足気に笑っているディオ。
マジで何考えてんだ。
「このディオがお前のような喪女にキスをしてやったんだ。嬉し涙を流して喜べ」
『いやいや、意味わかんないんですけど!?』
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金糸雀@Twitterよろ(プロフ) - 全ての出会いに感謝 (2月28日 3時) (レス) @page25 id: 8c9d2cd7b3 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - 本当、好き (2023年4月19日 17時) (レス) @page44 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 最高です!!! (2023年2月25日 12時) (レス) @page41 id: 5ceee3abc4 (このIDを非表示/違反報告)
光と慈雨(プロフ) - 餡さん» 沢山書いてくれてありがとうございます!嬉しい言葉ばかりで感動しました、これからも頑張ります🥹 (2023年2月18日 21時) (レス) id: 6671bb5b60 (このIDを非表示/違反報告)
餡(プロフ) - とはいえこんなに素敵な物語を執筆し、その上完結に至るまでには、 相当な思考と時間を要したかと思われます!本当にお疲れ様でした。「吸血鬼とモブJK3」の今後の展開も楽しみです。これからも陰ながら応援させて頂きます…!😭💖長文、失礼致しました。 (2023年2月15日 23時) (レス) id: 493b9f8f47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2023年1月27日 0時