悪"役" ページ3
『あれ、ボインゴ君！久しぶり』
「Aさん、お久しぶりです」
朝、ハンハリーリ市場の店の前で開店準備をしているとボインゴ君に会った。
何日ぶりだろうか、相変わらず人前に出るとよそよそしくなる姿は変わっていなかった。
ボインゴ君には前、騙されて私の大切な個人情報がDIOに渡ってしまった……という事もあるけれど今更そんなこと根に持ったりしない。
うん、私も子供じゃないのだ。あのことは水に流そう！
ボインゴ君も、全く気にしてないようだし。
ボインゴ君は私の顔を見て、申し訳ない…というような表情をする訳でも、気まずい…という様子でもなかった。
まるで、"僕は今まで悪事を働いた事は1度もありません！"
というような清々しい顔をして、微笑んでいた。
流石はDIOの部下だ。全く反省の色が見えない。
きっとあんな小さな事は忘れてしまったのだろう。
そんなところも、君の良さだと思うよ。
『ところで、ボインゴ君こんな時間にお出かけ？』
私はボインゴ君の目線に合わせるように、しゃがんでそう聞いた。
彼はリュックサックを背負っていて、これから遠出でもするような格好なのだ。
「はい、これからアスワンに行って参ります！」
アスワン？
私が首を傾げると、ボインゴ君は浅く頷いた。
「アスワンは、エジプト南東部ヌビア地方にある都市で、アブ・シンベル神殿への観光拠点となる街です！ハイ」
『へぇ〜、そうなんだ。1人で旅行？』
「いいえ、これからお兄ちゃんと一緒にジョースター御一行を皆殺しに行くのです！」
思わず"え…"と音にならない声が漏れた。
当たり前のように皆殺しという言葉を使った少年、ボインゴ君。
いや、まぁ…うん。
今更、こんな事でいちいち驚いていても"この世界"じゃやっていけない。
利害関係が特に明確になっているこのジョジョの世界では、スタンド使い同士での争いは発生してしまうものなのだから。
ボインゴ君が悪……なのかと言われれば、ね？
きっと悪役ではあるだろうけど、彼なりの正義の元でそれをやっているのだ。
私が彼の行動に何か口を出すのは、許されない。
『そ、そうなんだ！頑張って……？と言うのもおかしいけど、大きな怪我しないように！』
「はい、DIO様の為にも必ずジョースター達を倒してきます！」
『お、おう！』
ボインゴ君はリュックサックをしっかり担ぎ直すと、鬼退治をしに行く桃太郎のような風情で去って行った。
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (
レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光と慈雨
| 作者ホームページ：http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2022年9月5日 23時
