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バーボンに銃を突きつけてから数日、自分でも馬鹿なことをしてしまったと嘆いてはどうしようもならない思いに浸っていた。出会ってからまだ日が経っていないにも関わらずバーボンにとんでもない弱みを握られた。ただシェリーの話題を出されてもあんな風にはならなかったはず……殺しの後に、というのがかなり影響した。溜め息だけが自室の静寂へと消える。


シェリーとは何でも話し合える数少ない仲だった。記憶は定かでないが親同士の仲も良かったため年も近い私たちは幼い頃から何度か顔を合わせたことがあった。私がコードネームを持っていなくても彼女は当たり前かのように私を同等に扱ってくれ、実力も認めてくれた。


彼女が裏切り者へと化したと知らされた時、きっとお姉さんのことが関わっているのだろうと薄々勘付いていた。そして、彼女がガス室から消え失せたと聞いたときは安心してしまう自分がいた、私はシェリーが消されるのを見なくて済むと。でもその反面、もう組織の中に何でも話し合えるような、そんな人はいなくなってしまったとも思っていた。私は肉親どころか大切な友人までも失う羽目になった。


それでも、私はシェリーと彼女の姉を奪った組織を裏切ろうとはしなかった。組織からどのような制裁が下るかもよく分かっていたし、私にはここ以外生きる場所がないと分かっていた。時の流れに任せて組織に居座り続けていた、そんな時の出来事だった。


シェリーを失いコードネームを持つ手前くらいの立場だった頃、誰もいないはずの暗いラボに一台の立ち上がっているパソコンとそのパソコンの前にフードを深くかぶった男がいた。不審に思った私は暫く男を見続けた。男がUSBを差し込んだ瞬間、男が組織の情報を持ち出そうとしていると確信した私は声をかけた。


腹を殴られ、喉元に銃を突きつけられた私は抵抗する隙もなく男に翻弄され続けた。だが是が非でも組織のデータを守らなければと思い、隙をついて近くにあった薬品とフラスコを相手に投げさらに銃を奪い罵り脅した。


そして運良くその一部始終をベルモットが見ていたのだ。その裏切り者はとある国の諜報員だったらしく組織の手によって消され、コードネームを持つ前からの仲だったベルモットにも一躍関心を買われた。


この日を境に私はあの方に目をつけられコードネームを持つ幹部の一人へと昇格。その後は抹殺を生業としてきた。私が組織にいれるのも偶然の産物で、また組織によって心も随分と黒くなってしまったなと思う時だった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 黒の組織   
作品ジャンル:アニメ
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琳香(プロフ) - さちさん» コメントとご感想ありがとうございます(´-`)こちらこそよろしくお願いします。 (2019年10月19日 23時) (レス) id: f8b1e46d61 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年10月19日 13時) (レス) id: c80821aeaf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiharu | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年10月13日 23時

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