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列車に乗って幾分か時間が経ったが特に何も起きず刻々と時間だけが過ぎていく。個室のドアの外からはバタバタと走り抜けていく足音が騒がしく聞こえるけれど特に気に障ることもない
バーボン連絡が来るまで何もしないのも勿体無く思い少し列車を彷徨くことにした、そんな時だった。列車に乗り込んだ時にホームで見た記憶のある女の子が私の背後から何かから逃げてくるように走り過ぎて来た。その刹那、私は何を思ったのか考えるより先にその子の手首をぐっと掴み、その子の走りを止めた。それに対して振り返った女の子の目は恐怖に満ち溢れていて、私は瞬時にその子の手首をパッと離した。
「あっ……ご、ごめんなさい……驚かせちゃったよね。私のお友達の小さい頃に似てたからつい……」
女の子の目は恐怖から驚きへと変貌した。そして、覚悟を決めたようにして此方に目を向けた。
「APTX4869……プログラム細胞死によりアポトーシスが誘導され……摂取個体は通常死に至る」
私は驚きを隠せなかった。一体何がどうなっているのか、全ての脳回路がショート寸前まで追い込まれた。
「あなた……まさか……志保、志保なの?」
「久しぶり、A……私たちが第四ラボにいた時、Aに面白い結果になったラットがいたって報告したこと覚えてない?」
「それって……」
その瞬間私は全てを悟った。あの日、シェリーが組織のガス室から抜け出した方法は、死ぬ為に飲んだAPTX4869の副作用で身体が幼児化しそこから何かしらの方法で抜け出し今に至るということ、まるで何処かのおとぎ話のよう。
「あなたも……A
再び恐怖で溢れ返った彼女の目を見て私は何も返せなかった。何を言えばいいか、分からなかった。
そしてようやく出た言葉。
「私は志保を殺さない、たとえ組織から命令されても私は殺せないわ。だって……私たちは組織の中でも外でも普通の仲じゃなかったないじゃないの。だから……消せないわ、たとえ今の私が組織きっての……殺し屋だとしても」
「馬鹿ね……研究員じゃなく、今殺し屋のあなたが私を見逃せば、そんなことしたらAが殺される。組織は何としてでも私を追ってくる、だから私は解毒薬を飲んでシェリーとして走る鉄の監獄に乗せられて奴らに殺されるべきなのよ」
「じゃあどうして……どうして私に幼児化のことを明かした?感情に任せて行動しないはずの志保がどうして」
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琳香(プロフ) - さちさん» コメントとご感想ありがとうございます(´-`)こちらこそよろしくお願いします。 (2019年10月19日 23時) (レス) id: f8b1e46d61 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年10月19日 13時) (レス) id: c80821aeaf (このIDを非表示/違反報告)
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