8 gd ページ8
事務所の仮眠室
泣き疲れて眠るAの顔に手を添え
親指でゆっくりと頬を撫でた
Aの異変に気付いたのは
彼女が泣き出してから少ししてからだった
「声が出ないの？」
泣きじゃくるAのことを必死になって抱き止める俺の後ろから
その冷静な言葉が降ってきた
振り返るとgloryが今度は同情を含んだ眼差しで
Aを見ていた
声が出ない
その言葉の意味をやっと頭で理解して
そっと肩に手を添えて
Aの顔を胸の中から離した
「A…
そうなの…？
声
でないの…？」
恐る恐るそう尋ねると
喉元に両手を添えたまま
瞳は俺を見つめた
その唇が小さく
ジヨン…
と動いたが
声は聞こえてきてはくれなかった
「A…！」
あまりの衝撃に
感情的になりそうになる
すると、そんな俺の気持ちがAの心に流れ込んでいってしまい
Aがまた俺の胸に顔を埋めて泣き出した
俺がAをこうしてしまった
本当の意味でそう感じた
そして、そう自覚してもなお、俺がAに出来ることなど何一つないのだという現実に
絶望というものを、ほとんど始めて感じたのだった
「ん…」
眠るAからそんな声が聞こえて
はっと希望を感じた
「A？
おきたの？A？」
思わず前のめりになってそう尋ねると
薄っすらと瞳が開いた
そして
ジヨン…
と
動いたのは
やはり口もとだけだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 335人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sora123(プロフ) - 文面がすんごい好みだし、面白いです。更新待ってます。 (2018年7月4日 2時) (
レス) id: 38b3b19b0b (このIDを非表示/違反報告)
mayu.(プロフ) - はなこさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて大変嬉しく思います。少しずつの更新になってしまいますが、今後ともよろしくお願いします(^^) (2018年3月6日 20時) (レス) id: 80e42430ef (このIDを非表示/違反報告)
はなこ - 久しぶりに小説にハマってしまい最初から立て続けに読んでしまいました！！mayuさんの世界観と言葉選びがとても好きです。更新楽しみにしてます♪ (2018年3月3日 0時) (レス) id: 679653580c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mayu | 作成日時：2018年2月19日 22時
