15 Seungri ページ15
ヒョンのマンションを出て
再び事務所へと戻った
外は春の雨が降っていた
「おかえりなさいスンリさん」
フロアを上がると先ほどの部屋にGloryがいた
「まだ仕事してたのか？」
「ええ
まあ正確に言うと、スンリさんが戻るのを待ってたんです
彼女のことが気になって」
いつものごとく、実にシンプルにそう口にした
ここ一年、DJとしてGloryと仕事をする中で感じたこと
とにかく彼は、俺らがもっているようなくだらないプライドや皮肉を一切口にしなかった
しかし、プライドがない訳でも、皮肉を言いたくならない訳でもなくて
意図的にそのようにしているのだと
俺は勝手にそう思っていた
「心因性だって
明日戻るかもしれないし
何年も戻らないかもしれない」
「そうですか」
俺がそう伝えると、それだけ口にしてあとは何も話さなかった
しばらくの間
どちらも口を開くことはなく
かと言って、重苦しい空気になることもなく
ただ、お互いに黙って
何かを考えていた
お互いに
彼女のことを
「空港で
目に留まったんです
人が集まる中で何となく、彼女が見えたんです
そしたら彼女、倒れてしまって
俺が助けるために、倒れたようなタイミングでした
何となくそんなふうに思ったんです
彼女、俺を透かしてジヨンさんを見ていました
でも、彼女は今…」
長い沈黙の後、彼はそう言った
俺は、彼がこんなに回りくどい話をするのを初めて聞いた
「お前らしくないな」
俺がそう言うと、彼は少し驚いたような表情を見せ、そして微笑した
「そうですね
彼女をいいなと思いました
できればこの先もこの気持ちに正直に行きたいと思っています
ですが、ジヨンさんはもうすぐ兵役にいきます
フェアでなくても通すのがフェアなのか
それともフェアではないのか
まったく…僕らしくないですね」
どう返していいのか分からなかった
そして、彼も俺の返答をまっているという訳ではなかった
「Aちゃんって不思議なこなんだ
俺だって、今のお前みたいに思うんだよ
誰もがそうなんじゃないかとさえ思う
そして
もっと本質的なことをいえば
俺らのそれとジヨンヒョンのそれとは
まったく別物のようだよ」
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Sora123(プロフ) - 文面がすんごい好みだし、面白いです。更新待ってます。 (2018年7月4日 2時) (
レス) id: 38b3b19b0b (このIDを非表示/違反報告)
mayu.(プロフ) - はなこさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて大変嬉しく思います。少しずつの更新になってしまいますが、今後ともよろしくお願いします(^^) (2018年3月6日 20時) (レス) id: 80e42430ef (このIDを非表示/違反報告)
はなこ - 久しぶりに小説にハマってしまい最初から立て続けに読んでしまいました！！mayuさんの世界観と言葉選びがとても好きです。更新楽しみにしてます♪ (2018年3月3日 0時) (レス) id: 679653580c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mayu | 作成日時：2018年2月19日 22時
