25日目 ページ39
ダンッ、というわかりやすい音を立てて
夜中の12時を過ぎた頃、
迅の部屋のドアを開ける。
『なにしてんの。』
迅「なにって、なんの事?」
いつもと同じ顔。
ヘラヘラ笑って、"おれかなんかしたっけ?"と言いたげにしらばっくれている。
ドアの前にたっていた私は、
バンッとまたもや音を立てて扉を閉めると
そのままヅカヅカ彼の部屋に入って。
ベッドの上に座る彼の左腕を掴み、グイッと上にあげさせる。
『視えてないとでも思ってんの。』
ペラリ、と服の袖がめくれて、迅の腕が顕になれば
血のにじむ包帯がクルクルと巻かれていた。
迅「まさか、」
私と目を合わせようとせず、下を見つめてそう呟く迅。
『じゃあなんで知らないフリするの』
迅「自己申告するものじゃないでしょ。」
悪びれもしない迅。
私が彼の腕をいつまでも握っているものだから、
"A、痛い"なんて言って
私は迅の腕から手を離さざるを得なかった。
『迅のばか。迅のばか、迅のばかばか。』
私がどれだけ迅を罵っても彼は私と目を合わせてくれやしない。
静かに、笑っているばかりで。
ごめんも、もうやらないって言葉も、言ってはくれなかった。
『もう、やめてよ。怖いことしないでよ、自分のこと痛めつけるようなことしないで。』
だんだん視界はぼやけてくるし、迅がどこかへ言ってしまうような気がして怖くて仕方がない。
迅「大丈夫だから」
『どこが!!!』
怒りと寂しさに任せて、手を上に振り上げるも、
彼の顔に、身体に、その手を振り下ろすことは出来なかった。
『どこが……、どこが、大丈夫なの…?うそばっかり、』
膝から崩れて、私が迅のベッドに顔を付けて泣けば
彼はそっと私の頭を撫でるばかりだった。
迅は泣いてくれなかった。
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作者名:いちごおれ?? | 作成日時:2023年2月20日 23時