八日目 ページ11
迅 said
起きた時、もうAは居なかった。
日曜日だって言うのに、アイツは傍から姿を消していた。
いつも通りご飯を胃に流し込み、外へと足を運ぶ。
変わり映えのしない毎日だった。
おれが視るものも、人の死、悲しみ、喜び、幸せ。
昨晩は静かだったのに。
Aの傍で、機能しなくなった
嵐山「迅！」
後ろで声がした。おれは振り向いた。見知った顔が居た。
迅「嵐山。」
いつものニコニコ顔で此方に来るこいつを目で追って、"どうした"と声をかける。
嵐山「いや、見かけたからさ。特に用事はないんだ」
本部へ行くのか？ と言われ、特にそっちに用事は無かったものの うん と頷く。
本部への道を歩いていたら、もしかしたらAに会えるかもしれないと思って。
暫く2人で他愛のない話をしながら歩いていた。時に笑って、時にため息をついて。
いつもの会話だった。
結局本部に着くまでAに会うことはなかった。
A限定で未来が見えないおれは、まぁ人生そんなもん……なのかな、と内心落ち込む
途端に、"あ"と隣の嵐山が声を上げた。
どうした？と聞くより先に、嵐山が口を開いた。
嵐山「Aと生駒」
その言葉に、自然と目線が動く。
先には確かにAが居た。
生駒っちさんったら〜 と、何やら楽しそうな声が聞こえた。
彼女が、今日も生きていたことに安堵する。
嵐山「ほんと、Aは迅が好きだな」
あまりにしれっと出た言葉に、おれは1度頷きそうになったが 直前で聞き返す。
迅「Aが？おれのこと？そんなわけないでしょ、避けられてるよ。絶賛」
嵐山「いや、そんなことは無いぞ。迅の真似をするのが好きだろう、Aは。」
おれの真似？いつ彼女がそんなことをしただろうか。おれと一生を頑なに拒む彼女が、率先しておれの真似なんて。
そんな顔をしているのが見えたのか、嵐山は続ける。
嵐山「生駒のこと、"生駒っちさん"って言うだろう？迅が生駒のことを、生駒っちって言うからじゃないか。俺のことだって嵐山さんっていう。」
烏丸は京介だしな。どれもおまえがそう呼んでいるからじゃないか。
そう言われて、ハッとした。今まで気づきもしなかった。
心底、Aは迅のことが好きなんだよ。よく見てる。
そう満足そうにつぶやく嵐山の顔を横目に、おれもAを眺めた。
あちらはおれに気付きやしない。
今、あいつの中の
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作者名：いちごおれ?? | 作成日時：2023年2月20日 23時
