『距離』 ページ10
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本格的に始まる夏の兆しに、その位から何かと見かければ声をかけあっては、涼し気な木陰で2人して話しながらいつの間にかそこでご飯を食べる様になった。
何か、他の部活の人で、しかも後輩であり異性の人とこんな風な仲になるのは初めてだなぁっとしみじみに思う。そもそもそんなに話さないし、関わり合いもないから、何気に太志が初めてかもしれない。しかも名前を呼び捨てで呼ぶのも。
特に内容が濃い訳でもなく、ただただ世間話とか近況に合った出来事とか、そんな話をするのも、のんびりとした話ばかりしている。
「暑いねー」
小野寺「Aちゃんは完全に暑いでしょ」
「これでも夏用のカーディガンなんだけどね笑」
小野寺「あーね」
「バレー部なんて体育館だから
熱こもって暑いでしょ」
小野寺「うん」
「弓道部でよかった」
小野寺「そこ？笑」
「ふふ笑うん」
小野寺「でもさ、袴も暑くない？」
「暑い」
小野寺「じゃあお互い様じゃん笑
俺は半袖短パンだから、
着衣に関してはバレー部でよかったよ」
「まぁ、練習着でする時もあるけどね」
小野寺「ジャージ？」
「うん」
小野寺「あー。しかも屋外だもんなー…いいな、」
「ふふ笑でしょ」
小野寺「うん。羨ましい笑」
我ながら、特に中身のない話でも、こうしてお互いの部活の話をするのも何気に楽しかったりする。りなとも話す時はあるけども、殆どはカフェとかお菓子の話だったりだから、部活の話はそこそこしない。
まぁ、必ずしたいって訳でもないけどね
だけど、これも高校生活最後の夏だと思えば、季節は生きてる限りそこ迄変わらないとは思うけど、学生の頃と大人になってからとでは違うってお母さんもお父さんも言ってたからか、今になって少し気になっては来てる。
人それぞれの青春の形なんて違うだろうけどね
私からしてみれば、どんな事も青春だったなぁ。高校迄りなや匠と同じなのも、高校の最後の年で匠の後輩君と話してるのも。
小野寺「Aちゃんって、夏休み何かあるの？」
「んー、今の所は何も無いよ」
小野寺「卒業したら就職？」
「ううん、進学」
小野寺「…因みに何処の大学？」
「んー…考えてるのは、語学･観光学系かな。
尚且つ弓道も出来ての大学を探しててね。
もうそろそろ絞らなきゃだー…どこ行こう」
小野寺「なるほど」
「太志は？就職するの？」
小野寺「んー…迷い中かな。
でも、バレーは続けたい」
「進路は色々迷うよねー」
小野寺「うん」
#進路の矛先
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作者名：LuV | 作成日時：2021年11月6日 18時
