Another Story 【小野寺太志】 (ページ21)

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『満足感』ページ21

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学生の内に恋人が出来るとは思ってもいなかった

ほぼ1年と数えて、高校生活2年目の1年間はその恋人と一緒に登下校したり、一緒に昼食とったり、デートしたりだとかもして楽しかった。合格した時も自分の事かの様にAちゃんと一緒になって喜んて、家族ぐるみでお祝いした。

Aちゃんとは1つ学年が上だから、俺が高３になれば必然的にも大学生な訳で、しかも遠距離になってしまった。

手紙のやり取りをしてても思う。喪失感がある事を

電話だってしてるし、手紙とかLINEとかでもやり取りしてるしさ。でも声を聞くと満たされる感覚があって…。

なるほど、これが父親と母親が声を揃えて言ってた｢犬｣って感じなのか。あーなるほどね。分かったよ。あれでしょ？ご主人様に構ってもらえない寂しさと構ってもらえた時の満足感ってやつでしょ？

Aちゃんには言えないな…格好がつかないし…

｢太志ー｣

小野寺「…なにー？」

｢Aちゃんから電話来てるけど…
無視は良くないよ｣

小野寺「え、嘘…あ、本当だ、うわー…」

"「勉強してた？ごめんね」"

小野寺「え、あーいやううん笑平気」

｢笑｣

小野寺「Aちゃん海にいるの？」

"「うん、ちょっと散歩笑」"

小野寺「1年次は湘南にいるんだっけ？」

"「うん」"

小野寺「いいなぁ…笑」

"「ふふ笑まーね」"

Aちゃんの声って落ち着くから好き

所謂優しい声って言うやつで。程よい話し方である意味眠たくなる。勿論いい意味でだけど。それにAちゃんの方から聞こえてくる波の音も相まって。

バイトとかもしてるし、休みの日もあるのは知ってるけど、自分の学業だってある訳で、その中で俺と電話したり手紙のやり取りとかもして、絶対大変なのに…。何か、そう考えるとマイナス思考になって行ってる自分が嫌になる。

小野寺「Aちゃん」

"「んー？」"

小野寺「今日バイトだった？」

"「ふふ笑ううん、今日お休みだったよ」"

小野寺「そっか…。Aちゃん」

"「なに？」"

小野寺「何か、ごめんね」

"「どうして？」"

小野寺「忙しいのにさ、俺にも構ってくれて…」

"「ふふ笑そんな事ないよ。

近くにいた時はさ、いつだって会える事ができて
いつだって太志の声が聞けて、一緒にいれてたけど

離れて気づけば、電話で簡易的に声が聞けても
やっぱり会いたくなるし一緒にいたいって思うから

私が太志を欲してるの。ふふ笑」"

小野寺「っ…好き」

"「うん笑」"

#それはずるい

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