夢女子、推しに捕まる【梵天】

犯罪組織にもファンはいる ページ1

「でもやっぱ夜が上手いのはさ………」







手配書の写真が映るスマホ片手にニヤニヤと笑みを浮かべる相方のれったん


目を合わせて共に息を吸った






「『灰谷蘭！！！』」




これ確定ね！



指名手配犯の名前をカフェで叫び、イエーイとハイタッチを交わすと前にいたおじさん2人組に白い目で見られた



そんなことは気にせず語り続ける私たち




『テクニシャンなんですよあの男は』

「いやそれは間違いない」

『でも付き合うなら竜胆なんだよなぁ、一途そう』

「一途そうなのはやっぱ鶴蝶っしょ。付き合いたい」

『えー！ないない！！絶対怖いよあの傷だよ！！』

「でも黒髪だし威厳ありそうじゃない？三途推しだけど付き合うなら真面目な人がいい〜」

『三途はないよね絶対。ダメ男っぽい』

「だがそこがいい」





うーん鶴蝶かぁ〜

まぁ分かるけどさ、あの傷マージで怖くない？

それに比べて灰谷兄弟の顔面はノーダメージよ！






「てかさーA、新作の方はどんな感じなの？」




『この後の展開に悩んでるの！れったんちょっと見て欲しい！！』



どれどれ……なんて言って唐突に始まる試読会






なぜ一般人の私達が彼等の限りなく少ない情報で盛り上がっているのか




.




連日世間を騒がせてる犯罪組織"梵天"



半年前、主要幹部の手配書がぞろぞろと公表されると、一部の人間は度肝を抜かれた



イケメン、誰を見てもイケメン


これはホストクラブのチラシかな？





@___

この人達になら殺されていいわ


@___

普通にリアコになりそう。


@___

実はアイドルなんじゃね





様々なSNSで話題沸騰し、神絵師、文字書きは軽率に"梵天"というコンテンツに手を出し始めた



誘拐されたり、秘書になったり、妄想ならやりたい放題

いわゆる"キケンな恋"というコンテンツにぴったりだったため、ドMホイホイ系ジャンルとして確立





が、所詮は犯罪組織


この社会現象とも呼べる事態を取り上げるマスメディアはなかった


そりゃあコンプラ的にまずいし当然だわな






しかし勢いは止まらない



ミーハーで済まないファンは腐女子、夢女子と枝分かれしていき、犯罪者に沸くとかいう世間的に見て異常な女共はネット民から通称"梵天厨"と呼ばれるようになった



私は、そんな梵天厨夢女子界隈の大御所


"メガトマト"というハンドルネームで活躍する文字書きである






これは、そんな不思議な世界の話

記念撮影→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す