厄介ファンに変わりはない！【三途春千夜】

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は？ふざけんな





この期に及んでまだ邪魔するわけ？




まぁ今日も何かしらの嫌がらせされる予定だったのに今まで上手く進行出来てたのもなんか不思議だったけど




よりによってこのタイミング？有り得ない





偽物のマイクで歌えない私の次のパート


金髪が横取りしていった







さすがにムカついたけど、私も目まぐるしく変わるフォーメーションに合わせるのに必死だった


間奏に入って動きはさらに激しくなって

キーリングパートはセンターで手を掴まれる振り付け

あいつもきっと見てるのに










歌えない、私の声は聞こえない








一瞬音楽が止まるその時間、私はただ強く唇を噛むことしか出来なかった





妙にシンとしてるように感じた空間で、




糸が切れるような音がやけに大きく聞こえた








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ビーズがボロボロと落ちていった






『……………っ』







"俺の強運を分けてやる"









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…………嘘つき






全然ダメじゃん








所詮200円のブレスレット、豆粒にも満たないサイズのビーズ



ペンライトの輝きに比べたら、宝石の輝きに比べたら、こんなの無価値も同然の物







それでも私は、嬉しかったんだ




あとちょっと頑張ろうって思えたの







それももう無理





金髪の手が引っかかって切れたのか、わざと切られたのか分からない






でも、不幸なことにニヤついたようなそいつの顔が目に入ってしまって






私の中の糸も、プツンと切れて、繋がってたビーズは零れ落ちてく








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『………おい、てめぇいい加減にしろよ』








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行き場のない感情をそいつの胸ぐらめがけてぶつける





「きゃあ！」





気持ち悪い金切り声



服の襟を絡まってるボサボサの金髪ごと掴みあげた











リーダーはやっと途中で歌うのを辞めた




ほか2人も足の動きを止める




ペンライトの動きも止まる




ただ曲だけが続いてた








「…………え？なになに」

「こういう演出？」







掛け声に夢中になってたファンはザワザワと別の意味で騒ぎ始める







何も耳に入らなかった



どうでも良かった







『はぁっ………はぁ…………』






「A？」




馬鹿みたいに血相変えたリーダーに名前を呼ばれる



自分の体が何かおかしい






って、気づいた時にはもう遅くて







「A！！！！」






そのまま意識は途絶えた







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