厄介ファンだと思ってた！【三途春千夜】

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「……寝不足？さっきから上の空だけど」



サイン会直前

私の気を確かにしてくれたのはマネージャーの増崎ニキ





『……マジ昨日疲れたんすよ色々と』

「あぁ、あの理事長のおっさん？」

『ちょ、声でかいって…』





確かに理事長のおっさんとの1件もしんどかったけど、

メインはその後よ

裏路地で蹲ってた所からがケチのつけ所よ





『もう始まるから、切り替えるね。ごめんなさいボーっとしちゃって』


………後でちゃんと話そ


あのキモオタが梵天のNo.2だって知ったらどんな反応するかな







「そろそろファン来るけど準備できてるー？」

「「「「はーい！」」」」




私以外のメンバーが愛想良く返事したので
姿勢を正して、目の前にあるマッキーペンを手に取った





今日は横浜でのイベント、サイン会

CD特典のシリアルコードで応募して、当選した人はメンバーが1列に並ぶ机を右から流れていき、メンバー全員のサインを貰えてお喋りも出来るという中々の神イベント

そしていつも握手会後に死んでる表情筋に加えて、今日は腕が死ぬこと確定




「大変お待たせ致しました！最初の方から順番にお入りくださーい」





スタッフが扉を開けると同時にゾロゾロと流れ込んでくるファンという名の金(失礼)



入るやいなや1番最後にスタンバイしてる私の歓声ばかり聞こえてくる

当然だ。このグループのファンの5、6割は私の担当だし


「うおおおおぉ！みょんたーん！」
「みょんたん可愛い！」
「みょんたーん！こっち向いてー！」


まぁ、嬉しいんだけどさ

何故かあいつの顔が頭によぎるからその呼び方やめて貰えるとありがたい

なんでファン界隈にもこのクソダサいあだ名が広がっちまってるんだよ梵天の権力か？






「……ﾁｯ」



横にいる最年少16歳の金髪の女は私に聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームで舌打ちしてきた

あれれ、末っ子っていう超強力アイデンティティを武器にして常日頃、可愛こぶるのに精を出してるってのに私の人気の足元にも及ばなくて僻んでるのかな？！


人気者って敵が多いものよね！困っちゃう！




睨みつけられたので『緊張してるの？大丈夫だよピピは可愛いから』と言ったらもう一度今度は私に聞こえるボリュームで舌打ちされた


おっと、開き直られたのか？

あんたらの知名度を上げてるのは間違えなくこの私のおかげだけどね？



大した努力もしてねぇくせにしゃしゃってんじゃねぇ！ブスが！

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