第17話―最初から ページ19
「あ?どういう意味だ…?」
「はあぁぁぁ……嘘でしょ?本当に?気付いて無いの?」
「だから何なんだよ!!さっさと云え!」
余りの驚きと呆れに、中々中也の発言を本当だと受け止めきれない。
私は頭を抱えて深く溜息を吐いた。
「……中也、あの夜の任務の目撃者であり、私達が云う彼の娘とは
"白崎 A"ちゃん、私のクラスメイトのことだよ」
そう告げると、私と中也の間に暫しの沈黙が走る。
中也は今、頭の中を整理している頃だろう。
―――――――――――……。
真っ暗な闇を月が照らす中、
私達は横たわった死体を囲んで眺めていた。
『おい、太宰。この後どうする?』
『取り敢えず、森さんに報告しなければね』
『その後に話し合いをしようか』と、云うと、中也は顔を顰(しか)めた。
中也の気持ちも判らなくはない。
学校の後に夜の任務。私だってくたくただ。
『面倒臭ぇな…。また明日も行かなきゃなんねぇって時に…』
『仕方がないよ。これが私達の本職なのだから』
訓練ばかりでは無く、こうして簡単な任務に出されるようになった私達だが、
何故かいつも中也と一緒だ。
その中也は後片付けを頼む為に構成員に連絡を取ろうと携帯を取り出した。
その瞬間、視界の端で何かの影が動いた。
そっと目だけを動かして見てみると、小さな子供が顔を覗かせていた。
小さな、といっても、私達と同じくらいだ。
ん…?あの子はもしかして……Aちゃん?
良く目を凝らして見ると、見た事のある顔だった。
それは、教室を離れた私を1人で追ってきた女の子、
白崎 A。
何故こんな処に…?
そんな疑問が頭を過(よ)ぎるのとほぼ同時に、
衝突音が狭い路地裏に響いた。
『ッ!?誰だ!!』
流石の中也も気付き、音のした方を振り返る。
カラカラと転がってきた缶を見て、直ぐに音の原因を理解した。
『…見られたね。中也は連絡を取って置いて』
『は?おい!太宰!!』
中也が後ろで叫んだが、それを聞かずにAちゃんを追い掛けた。
駄目だ。始末しては…異能力者が分からなくなる。
そうなれば捜査は更に行き詰まる。
それだけは勘弁して欲しいね。始末書なんて嫌だよ?私。
想像していたよりも足は遅く、
私でも直ぐに追い付いた。
といっても、後もう少しで人目につきそうだったけれど。
叫べないように口元を抑え、路地裏の中に引きずり込こんだ。
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入浴(プロフ) - ゼロさん» わあ!ありがとうございます!!そう言ってもらえるととても嬉しいです! (2018年2月10日 22時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 面白いです。 (2018年2月10日 22時) (レス) id: 598748d846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:入浴 | 作成日時:2018年2月4日 1時