調査ってこんなに楽しいものでしたっけ

・・・・・・ ページ28

『加賀美さんのマネージャーさんも夜原さんなのかな、と。』

「いえ、私の同期のマネージャーさんなんですよ。
　それで面識がありまして。」

『なるほど』

「私からも１つよろしいですか？」

『はい。』

「私が加賀美だと、
　最初から気づいていたんでしょうか？」

『‥そうですね。』


　即答する。いや、それはもうライバーとしてデビューするにあたり色んな方の配信を見てきましたからね、すぐに気づきましたとも。なんて言葉は飲み込んでおく。


『だからこそついてしまった嘘、といいますか……』


　勉強の為に、と見ていた配信。しかし、いつのまにか普通にファンになっていたのは事実。もちろん私情をいれるなんて事はしてはいけないけれど、


「そうですか」


　いい歳をした大人が迷子、なんて。
　そんな格好つかないこと……

　エレベーター開く。加賀美さんは扉が閉まらないように手で抑え「どうぞ」と優先される。


「……。」

『………』


　よくよく考えれば。
　これから先、にじさんじのライバーとして活動していくのだから加賀美さんと絡む見込みは普通にある、そこからオフコラボ、なんて可能性も大いにある。まぁあくまで可能性。
　けれどその際"あの時の…"なんてことになれば先程以上に気まずい事この上ないだろう。
…案外このタイミングでバレて良かったのかもしれない。


「『……』」


　さほど広くも無いエレベーターの中、2人だけというのはがらんとしていて、それが余計に今の静けさを強調する。
　横を盗み見れば、エレベーターに乗る前の沈黙時とは違う顔をした加賀美さんがいた。

………そうさせてしまったは私ですね




『軽く、自己紹介をしてもいいでしょうか』

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