調査ってこんなに楽しいものでしたっけ

せんぱい ページ17

「ディスコはもうしたん？」

『した、って見てないんかい。』

考えればお姉ちゃんには同期というものが存在しないから繋がりがあるのは俺だけってことになるのか。桜魔出身でも晴とは会ったことがないみたいだし、藤士郎とは化粧品を送り合ったことがあるみたいだけど‥どうなんだ？

「いい関係は築けそ？」
『どうだろねぇ‥ただ皆さん優しいよ。』
機材のことわからなかったら聞いてくださいねって沢山の人が言ってくれてるんだぁ。

「…だなぁ。」

弟である俺は絶対に頼ってくれねぇんだろうな。

　弟というのは特別だ。でもだからこそ生じる壁みたいな、プライドみたいなものがあるのも確か。それでも誰も頼らないよりかはずぅっとましで

これからどんなイメージを持たれ、どんなライバーと繋がりを持ち、誰とコンビの認識をされるようになるのか‥
それは俺と関係ないんだろうけど、


最初のコラボ相手は俺がいい。
なんてことを思う、まぁ出来るでしょ。
弟だし、この立場を最大限に利用しよう。

でもまぁ

「ほんとに疲れてんね？」
「飯おれが作ろうか？」
居候させてもらってる身としての完全に善意からの提案。




『さては貴様、生野菜にソースかけて出すつもりだな？？』
「だからなんでわかるの！？」



はぁぁ〜って、そんな深いため息つかんでも

『私が作るから、材料買ってきて。』

今けっこう遅い時間よ‥？
お外もけっこう寒いのよ‥？
なんてことを考えていたら嫌そうなそぶりが出ていたらしく、じとっとした目線を向けてくる。

「はいはい行きますよ。」

重い足を動かして部屋を出ようとドアに手をかける

『あ、景。』
「なにぃ？」

少しふてくされたような声で返事をして振り返れば、椅子から立ち上がり真っ直ぐこちらに向き直った姉の姿。
あれだ、祓魔師として一緒に仕事してたときみたいな真剣な感じ、自然と背筋が伸びてしまう。



『これから改めてよろしくお願いしますよ、景先輩？』

なんて柔らかく、少し不敵な笑みを浮かべながらそう言うもんだから

「へいへぃ、行ってきますよ〜」

‥やっぱお姉ちゃんにはかなわねぇ。



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この時の俺は知らなかった。
お姉ちゃんが持ち前の天然(人たらし)をいろんな人に発動させ、初めてのコラボが叶わなくなることを。

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