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「け、拳くんどうしたの？いつもの拳くんじゃないよ？」
「いつもの？いつもが本当の俺じゃないとしたら？」
「な、なに言って…」
相変わらず抱きしめた腕はそのまま。私の鼓動は早くなる一方。確かに、最近の拳くんは表情豊かというか…感情がジェットコースターの様に落差が激しい。機嫌がいいと思ったら、機嫌が悪くなったり。前まではこんなに表に出す人ではなかったと思うんだけど……
そんなことより、拳くんの誤解を一刻も早く解かなくては。だけど、言葉で伝えてもどうにも伝えきれない。どうしたものか…考えて、至った結論は……
「A…？」
「なんで拳くんが、私と河村さんが付き合ってるって、キスしたなんて誤解してるか分からないけど…どうやって誤解を解いたらいいかも分からないけど…信じてください。私は河村さんと付き合ってないし、キスなんて好きな人としかしたくないです」
なんとか体を拳くんの方へ向けて、私も拳くんの背中に手をまわして精一杯拳くんを抱きしめた。その行動に驚いたのか、声色から抱きしめる力が緩んだことから、拳くんが相当驚いていることがわかる。
「……ごめん。なんだか最近、Aが河村と仲良かったりするから、変な嫉妬してた。疑ったりしてごめんね、Aが誰でも構わずキスなんてするわけないのにね」
そう言って拳くんが抱きしめてた腕を解いて、私の頭を撫でた。
「ううん。昨日はまつ毛を河村さんに取ってもらってたの。それがもしかしたらキスしてるように見えた…とか？」
「あはは、A目瞑ってたしそうかもしれない。本当に、ごめんね」
まさか、まつ毛を取ってもらったあのやり取りを見て、キスしてるなんて勘違いされるとは……
と、その時あのやり取りの後に河村さんに言われた言葉を思い出した。
「…この一連のやり取りで私が感じた気持ち…？」
「ん？どうしたのA」
「あ、ううん！なんでもない！ごめん、帰ろっか拳くん」
「うん。あ、急に腕引っ張って痛くなかった？ごめんね」
「もう、謝りすぎだってば。大丈夫だよ」
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続く (更新停止中)
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作者名：ひなた | 作成日時：2021年9月19日 10時
