サネカズラは突然に ページ5
【サネカズラ】チャンスを掴む
「惜しかったね〜」
クイズ大会を終えちかの元へと戻ると、おつかれ。と私の肩にポンと手を置くちか。そんなちかなど気にも留めずただじっと私は遠くから優勝の粗品を受け取っている彼をじっと見ていた。最初はあんなにどうでもよかったのに今は、彼に接戦で負けたことがこの上なく悔しかった。
「でも、まさか最後…あんたの曲が流れるなんてね」
「……ホントだよ。お陰でボタンを押す手が遅れちゃった。」
最後の最後、イントロクイズで流れたのは私が作曲した、ピオニーの曲だった。今までの傾向でクラシックだと思っていた私は、完全に頭の切り替えに遅れ、最終問題の解答権を彼に渡してしまったのだった。
「絶対誰よりもあの曲聴いてるの私なのに〜!!」
「まあまあ、負け犬の遠吠えも大概にせよ」
クイズマンに色々質問されて少し困り顔の彼を遠くから眺めながら、私は悔しさを滲ませた。まあ、変なクイズ大会だったけどそれなりに楽しめた。人が沢山集まりすぎたからそろそろ移動しよう。そう思って私とちかはいそいそと食堂から出たのであった。
.
その後、いくつか講義を受け、先に講義を終わらせた私は、食堂でちかの講義終わりを待っていた。一人目立たない角の席に座りながら先程の彼のことについてスマホで検索してみた。
──東大生が多いQuizKnockで珍しい早大生『山本祥彰』
そうか、彼の名前は『山本祥彰』くん、か。理系だが、クイズでの得意ジャンルは漢字…音楽は特別得意って訳じゃないんだ。それで私に勝ったのか…クラシックとポップスではジャンルは違うものの、それなりに悔しい。それ程までに彼の知識は私を上回っているのか。
彼──山本くんについて、紹介されているページをじっくり見ていると、向かいの席に誰かが座るのが視界の端に映った。あれ、ちかもう講義終わったの?そう思いながら、目線をあげるとそこに居たのは
「やっ、山本くん…?!」
「僕の名前、知ってくれてるんだ」
私から音楽王をかっさらった優勝者、山本くんの姿であった。
「ど、どうして…」
「さっきのクイズ終わったあとに声かけようと思ったんだけどさ、あの司会者さんに捕まってる間に見失っちゃってさ」
いや、私が聞きたいのはそういうことでは無いのだが…当の本人はそんな私のことなどお構い無しに話を続けた。そして、彼の口から発せられる言葉に私は驚愕することとなる。
「突然だけどさ、君QuizKnockに入らない?」
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りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます!素敵と言って貰える作品作りが出来て良かったです!次回作も構想練ってますので、ぜひお読み頂けたら嬉しいです(*^^*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 名無し21900号さん» 完結致しました!最後までお付き合い頂き、コメントまで...感謝致します!次回作まで楽しみにしてくださって嬉しいです…!ぜひ頑張りますので、次回作でも会えたら嬉しいです(*^^*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 完結おめでとうございます(謎)!語彙力がないので上手く言えませんが凄く素敵です!とても面白かったです! (2020年7月10日 0時) (レス) id: 17b218ff81 (このIDを非表示/違反報告)
名無し21900号(プロフ) - 完結しましたね、、!更新されるのがとっても楽しみでした!次回作にも期待してます、、! (2020年7月10日 0時) (レス) id: 92c0a47f28 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます!そう言ってくださる方がいらっしゃるだけで頑張れます(*^^*) (2020年6月20日 17時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作者ホームページ:
作成日時:2020年6月13日 12時