桔梗に胸を張って ページ40
【桔梗】正直
『祥彰くん』と書かれたトーク欄が、とても久しぶりに生き生きと私たちのトークで埋め尽くされていく。今までの、ふたりの隙間を埋めるかのように…
ああ、どうしよう。声が聞きたくなってきた。でも、時計が示す時間は既に夜の0時を過ぎている。流石に時間が遅すぎる。
なんて、思っていたら画面が突然暗転し震え出した。肩をビクつかせ何事かと思ったら、なんと祥彰くんから着信が。
……どうしよう、嬉しすぎる。
「…はい、もしもし」
『……やっと、声が聞けたや』
耳に飛び込んできた、とても心地よくて胸が踊りそうになる、彼の声。既に胸は激しく踊り始めているかもしれない。
『ごめんね、突然電話して。…でも、Aちゃんの声…聞きたくて我慢出来なくなっちゃった』
「…私も。祥彰くんに電話したかったけど、遅い時間で迷惑かな…って思ってたから。嬉しいよ」
祥彰くんの声だけ聞いてたいのに、心臓がドキドキうるさい。電話口から祥彰くんに届いてしまっていないか、ハラハラ。
「あの…祥彰くん。私、祥彰くんに言わなきゃいけない事があるの…」
『…うん。聞くよ。話して?』
ドキドキは相変わらずするけど、祥彰くんの優しい受け答えに心がじんわり暖かくなる。大丈夫、きっときちんと話せる。ひとつ深呼吸して、私はぽつりぽつりと話し始めた。
QuizKnockを突然何も言わずに辞めてしまったこと、突然あなたの前から姿を消してしまったこと……
話そうと思って、内容をまとめていたのにいざ祥彰くんに伝えるとなると全て内容が飛んでしまった。きっと何を言っているのかも分からないだろうに、祥彰くんは何も言わずにうん、うん…と相槌を打ってくれる。
「それでね…最後に、話したい事…はね…」
私が、ピオニーだということ……話そうと思ったのに、何故か涙が溢れてくる。今まで嘘をついていた事を申し訳ない気持ちと…もしかしたら…今までのような関係には戻れないかもしれない…もしかしたら…今日でこうやって話すのは最後かもしれない。そんな気持ちが溢れて…次の言葉が出てこなくなってしまって、沈黙が続いてしまった。
『……僕も話したいことあるんだけど…いい?』
「え……うん」
痺れを切らして遂に文句を言われてしまうのか……それくらい黙ってしまっていたからそれくらいの覚悟は出来てたつもりだったが、祥彰くんは信じられないことを口走るのだった。
『…僕、Aちゃんがピオニーだって……知ってるんだ』
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りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます!素敵と言って貰える作品作りが出来て良かったです!次回作も構想練ってますので、ぜひお読み頂けたら嬉しいです(*^^*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 名無し21900号さん» 完結致しました!最後までお付き合い頂き、コメントまで...感謝致します!次回作まで楽しみにしてくださって嬉しいです…!ぜひ頑張りますので、次回作でも会えたら嬉しいです(*^^*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 完結おめでとうございます(謎)!語彙力がないので上手く言えませんが凄く素敵です!とても面白かったです! (2020年7月10日 0時) (レス) id: 17b218ff81 (このIDを非表示/違反報告)
名無し21900号(プロフ) - 完結しましたね、、!更新されるのがとっても楽しみでした!次回作にも期待してます、、! (2020年7月10日 0時) (レス) id: 92c0a47f28 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます!そう言ってくださる方がいらっしゃるだけで頑張れます(*^^*) (2020年6月20日 17時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作者ホームページ:
作成日時:2020年6月13日 12時