【QK】貴方の言葉は花となる【ymmt】[完結]

自信家なアリウム ページ36

【アリウム】正しい主張

(山本side)
芍薬という花の存在自体は知っていても、どんな花なのかなぜその名前なのか。までは、知識が及んでいなかった。いい機会だ、芍薬は慣用句としてもクイズでよく出るし、芍薬について知識を深めよう。

そうして、芍薬の情報が掲載されているページをいくつか検索していた時に、あるものを、見つける。


『恵比寿草』
芍薬の別名で、他にも貌佳草(かおよぐさ)としても呼ばれることがある………


何気なく過ごしていて、Aちゃんのことを考えていたのに何故かピオニーで頭が支配され最終的にピオニーの事を考えている。なんて事は、よくある事だった。特に気にすることも無く過ごしていたし、時たまそれで悩んだりしたこともあったけど…

だが、今この別名を見て何故いつもAちゃんとピオニーが混ざってしまうのか、はっきりと分かった気がした。あるひとつの仮定に過ぎないし単なる勘違いである可能性も大いにあるのに、何故かこの別名を見た時ピオニー＝Aちゃん、という式が僕の頭の中で確立してしまった。


最初の違和感だった、歯切れの悪かった答えも彼女がピオニーだったから、とすれば合点がいく。そう思えば思うほど、それ以外のことが考えられなくなって、僕はいても立っても居られなくなり、伊沢さんの元へ向かった。




.




「伊沢さん…」

「ん？どうした？」


僕が神妙な面持ちで会議室に来たからだろうか、ただならぬ雰囲気を察した伊沢さんがパソコンから僕へとすぐに視線を移してくれた。間髪入れずに、単刀直入に問いかけた。


「Aちゃんって…ピオニーなんですか？」

「…………」


少し目を見開いて僕を真っ直ぐ見据えたあと、開いていたパソコンを閉じてじっと僕を見つめる伊沢さん。


「なんで、そう思ったんだ？」

「ピオニーって、花の芍薬の英名ですよね。芍薬の別名に、恵比寿草って呼び名がある事に気付いたんです」


伊沢さんは、黙って僕の話を聞いてくれている。そのまま僕は伊沢さんをじっと見つめて続けた。


「恵比寿草…Aちゃんの名字は恵比寿…ですよね。具体的な共通点はこれしかありませんが、僕は今までこれと無くAちゃんとピオニーが重なって見えてました」


ただ、それだけ。たまたまって思うかもしれないけど、僕にはそうとしか思えない。


「伊沢さん…僕の考えは合ってますか？」

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