【QK】貴方の言葉は花となる【ymmt】[完結]

赤に染まったシクラメンの乱れ ページ24

【赤:シクラメン】嫉妬

(山本side)
sgi「おー、始まったー」

izw「今回のバラエティ結構メンバー豪華でね」


毎度伊沢さんの出演番組にこうして集まっていると、彼が番組中ぶっ通しで話し続けるのなんて慣れてしまって。そして、誰も伊沢さんの話を聞いていない…というね。テレビに集中したいのに、伊沢さんのトークが邪魔をしてくる。


izw「ほら！ここの俺のセリフ、ウケたと思わない？！」

sgi「あー、ハイハイ。分かったから貴方は少し黙りなさいよ！」

kwmr「伊沢の声で他の人のトークが何も聞こえないんだけど」


ほら、言わんこっちゃない。僕が言わなくても誰もがみな思っている事だから誰かが毎度伊沢さんに小言を言う。そして、伊沢さんがいじけるまでがセットだ。


『今日はなんと、あの天才シンガーソングライターのピオニーさんにも来て頂いております〜！！今日は色々聞きますんでどうぞ、よろしく！』

『あはは、お手柔らかにお願いします〜！』


ピオニーの出番が来て、僕はテレビに視線を戻した。ピオニーは本当にプライベートが謎。それを暴こうとも思わないけど知れると思うとワクワクする自分もいた。


ko「あ、このピオニーって人この前山本さんがカラオケで歌ってた人？」

ymmt「そうそう！今日何話すのかな〜」

fkr「ピオニーさんって本当に謎が多いもんね〜」

ymmt「本当にそうなんですよ〜」


福良さんもピオニー知ってたんだ。まああらゆる音楽に手を出す福良さんだし、動画のヒントとかにもなるように色々YouTubeとかも見てるし知ってても当然か。

気付けば先程までAちゃんの事で頭いっぱいだった僕の脳内は一気にピオニー1色に。これもピオニーの魅力なのかもしれない。何故か彼女には引き込まれるのだ。

それは、恋愛とかでは無い。敬慕の目で彼女を見ていたのだが、何故か今日はいつもと感じ方が違った。


『ピオニーさんは恋愛曲とか絶大な人気ですけども、歌詞はご自身の体験談とかなんですか？』

『いやぁ、逆ですね！むしろ願望というか、こんな恋愛私もしてみたいなぁって』

『ほぉ。なかなかのロマンチストなんですね』

『改めて突っ込まれると照れちゃいますけどね』


ふと、出演者に向けられたピオニーの笑顔にチクリと胸が痛んだ。何故…？分からないけど、モヤモヤするような、変な気分だ。どこか、見覚えのある笑顔のように思えた。その笑顔が自分でない誰かに向けられることに酷く嫉妬している自分がいた。

シュウカイドウの舞→←手にはルドベキアの花束を

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す