【QK】貴方の言葉は花となる【ymmt】[完結]

恥じらうポピー ページ22

【ポピー】恋の予感


祥彰くんの視線に気づくも次の予約の前奏が流れて視線は外れてしまった。代わりに机のマイクを急いで握りこちらに向かって、笑いかけてきた。


「今度は僕の番！この前イントロクイズにもなってたピオニーの曲だよ！」


ここ最近では、特に思い入れがあるイントロが流れてくる。彼に僅かなタッチ差で負けてしまったあのイントロクイズの…私の曲。
いつの日かこの曲を好きだと祥彰くんが言ってくれてから、私も何故か数ある楽曲のうちで特にお気に入りの曲。


『♪〜♪♪〜♪〜♪…』


馴染みのありすぎる私にとっては、散々聴き飽きたと言ってもいいほど聴いてきた曲だが、祥彰くんが歌ってくれるこの曲は何だか違う気がして、私の曲を歌ってくれている祥彰くんから目が離せなくなっていた。
声も、表情も、歌い方も何もかも違うのに、何故こんなにも親近感が湧くのだろう。何故こんなにも目が離せないほど夢中になっているのだろう…


『♪私は君をこんなにも思ってるのに、何故か気持ちが伝えられない。そんな君は何も知らず私に笑いかけるんだ〜♪』


恋する女の子の気持ちを代弁したつもりで作り上げたこの曲。気持ちを伝えたいのに何故か伝えられなくてもどかしい気持ちなんだけど、相手は何も知らないからいつも私に笑いかけてきて、惑わしてくる。そんな女の子になりきって書いていた。

祥彰くんがこのフレーズを歌ったあと、私に気付いてこちらに笑いかけてきてくれた。まるであのフレーズのように。すぐに祥彰くんの視線はモニターに戻ってしまうも、私はいつまでも祥彰くんから目が離せない。彼がいつも以上に輝いて見える。

…そうか、恋する女の子の気持ち。こんな感じなんだ。自分で作った曲に、自分自身の気持ちを気付かせられるなんて、作ってる時には思いもしなかったなぁ……


「山本さんもやっぱり歌上手いな〜」

「ありがとう！こうちゃん！」

「へぇ〜、ピオニーの曲歌ってるの女の人多いけど山本さんが歌うピオニーもなかなか良いもんだね、A？」

「えっ！あ、うん。そうだね、ちか！祥彰くんすごく上手で思わず聴き入っちゃったよ」

「Aちゃんに褒められるなんて嬉しいなぁ。ありがとう！」


ああ、ほらまたそうやって…
キラキラ眩しい笑顔を振りまく彼に、私はとっくに虜になっていたようだ。


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(歌詞は自作ですが似ているものがありましたらお知らせください)

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