調子が狂うわ、プラタナスよ ページ16
【プラタナス】天才
「ピオニーさんの楽屋はこちらになります」
「ありがとうございます」
「スタッフが伺いますのでしばらくお待ちくださいませ」
案内された個室楽屋。今日は初めてバラエティに呼ばれた。トーク苦手なのにな…
荷物を置いて、台本だけカバンから取りだし何頁か捲って読んでいる時、ドアがコンコンとノックされる。
「失礼します。ご挨拶に伺いました」
…あれ。この声って。台本から視線を起こしドアを注視する。ここ最近で、随分と聞き慣れたハキハキとしたこの喋り方は…
「いっ、伊沢さんっ!!」
「あ、ご存じ頂けて光栄です。QuizKnockの伊沢拓司と申します。」
QuizKnockのオフィスにいる時よりも些か控えめで丁寧な彼に、思わず名を叫んでしまい、彼は一瞬びっくりしたかのように見えた。そう言えば今私はピオニーだった…
「突然叫んでしまい申し訳ありません。実は個人的にQuizKnockの動画拝見しておりまして、一方的に存じ上げておりました。」
「それはそれは…一流アーティストのピオニーさんにご存じ頂けて誠に光栄です」
動画拝見どころか、恵比寿Aとして動画内の楽曲提供までしていて、現在ライターとして所属してる思いっきり内部の人間ですが…なんて言えず。
まさか、今日の収録に伊沢さんが居たとは思わず少し戸惑う。恐らく台本に今日の出演者くらい書いてあったのだろうが、見落としていた。そんな彼は懐からスムーズに名刺を取り出し私の前に差し出した。
「ご存知かと思いますが、webメディQuizKnockでCEOを務めております。」
「わざわざありがとうございます。」
───CEO...
そう、オフィスではいつもテンションが高く大人だけど子供っぽい人だなと思っていたけど、この人はQuizKnockの顔。まじまじと頂いた名刺を見つめていると、伊沢さんが横から少し気まずそうに私の顔を覗き込んで来た。
「あ、すみません。えっと、名刺名刺…」
名刺を渡されたら返すのがマナーなのに。いつもはこんな調子じゃないのに、伊沢さんだと調子が狂う。
「あっ、あった!すみません…」
「いえいえ。ありがとうございます。ピオニーさんって…テレビで拝見している姿よりもこうして実際にお会いすると、言い方が適切か分かりませんが接しやすくて、意外にもおっとりした方なんですね」
口元に手を当てそうクスクス笑う伊沢さん。…違うの!いつもはもっとクールに振舞ってるつもりなんだけど、貴方だから調子が狂うのよ!CEO!
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りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます!素敵と言って貰える作品作りが出来て良かったです!次回作も構想練ってますので、ぜひお読み頂けたら嬉しいです(*^^*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 名無し21900号さん» 完結致しました!最後までお付き合い頂き、コメントまで...感謝致します!次回作まで楽しみにしてくださって嬉しいです…!ぜひ頑張りますので、次回作でも会えたら嬉しいです(*^^*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 完結おめでとうございます(謎)!語彙力がないので上手く言えませんが凄く素敵です!とても面白かったです! (2020年7月10日 0時) (レス) id: 17b218ff81 (このIDを非表示/違反報告)
名無し21900号(プロフ) - 完結しましたね、、!更新されるのがとっても楽しみでした!次回作にも期待してます、、! (2020年7月10日 0時) (レス) id: 92c0a47f28 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます!そう言ってくださる方がいらっしゃるだけで頑張れます(*^^*) (2020年6月20日 17時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作者ホームページ:
作成日時:2020年6月13日 12時