【QK】貴方の言葉は花となる【ymmt】[完結]

黄色いゼラニウム ページ2

【黄:ゼラニウム】予期せぬ出会い


芍薬って花、ご存知？
有名なことわざがあるわよね？
『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』

そう。スラリとした茎の頂上に咲かせるは一輪の花。立ち姿が素敵なお花。
そんなお花になりたくて、私は今日もピオニーを演じる。




『みんなー！今日は来てくれてありがとうー！！』


大きな歓声。熱気。全てが私に注がれる。さあ、この熱を解き放ってあげましょう。


『最後まで、楽しんでいってねー！！』




.




「はい。おつかれ」

「ちか〜」


大学の食堂で私は親友のちかとお昼ご飯を食べるところであった。
私、恵比寿Aは早稲田大学の3年生。親友の加藤ちかは幼稚園から大学までずーっと一緒の大親友。


「昨日は大盛り上がりだったようね」


そう言って彼女は机に項垂れる私の目の前に青い鳥の検索結果一覧を差し出した。


«昨日のピオニーのライブ最高だった！！»

«ピオニーちゃん、可愛すぎてマジ女神»

«セトリヤバかった»

«相変わらず足細くてスラッとしてて、スタイル抜群。カッコよくて可愛くて歌上手くて…神様なんてこの世に存在するの？»


そこには数々の『ピオニー』に対する評価がリアルタイムで表示されてる。


「最近随分人気なのね」

「お陰様で〜こちらはクタクタですわ〜」

「ピオニーファンが今のアンタの姿みたらガッカリするでしょうね」

「スタイル抜群ChiKaちゃんに言われたくないやい！」


…そう。私は歌手のピオニー。そして、親友は今人気絶頂のモデルChiKaなのである。早稲田生であることは今のところバレてない。ちかのほうは、ある程度変装しないと道端で良く気付かれて大変な事になるのだが、一方の私はオンとオフの差が激しいらしく、今まで外でピオニーだと気付かれたことが無い。

もしかしたら、気付かれても声掛けて来ないだけとかかもだけどね。


「さぁさぁ！音楽の知識に自信がある方はいらっしゃいませんか〜？」

「…ん？何アレ？」


食堂の奥の方からなにやら賑やかな声が響き渡る。声のする方を向けば黄色いタキシードに身を包んだ怪しげな人が声掛けをしているようだ。彼の後ろには変なセットが置いてある。


「今こそ！早大音楽王を決めようではありませんか！！」

「なんかの催し物？」

「胡散くさ〜」


まるで興味無い。とすぐに胡散臭い人物から目を離す私とは裏腹にちかは何故か興味深々。


「A！出てみなよ！！」

「はぁ？！」

ヤマツツジを滾らせて→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す