社長、甘やかさないでください！【2j3j】② (ページ10)

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時間をかけて顔を離すと薄く口を開けて完全に溶けきった顔と目が合って、思わず押し倒したくなる衝動を残り僅かな理性で必死に抑えた。

どれくらいそうしていただろうか、

ハッとした表情を見せた彼女が弱々しく肩を押してふらっと立ち上がる。

加「っと、急に立ち上がらないの。」

『.........か、かえりましょう』

その声で私の頭もふっと冷静さを取り戻し、「そうですね」と零しながら部屋を出る準備をする。
.....本当に、いくらアルコールを摂取してさっき社さん達に煽られたからとはいえ、一企業の代表取締役らしからぬとんでもない痴態を犯すところだった。

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マネ「という事で、明日の日程はこんなですかね。...Aさん？」

『ふぇ！？.....あ、はい！』

マ「大丈夫ですか？体調悪かったりします？」

『あっいえ！何でもないです、ありがとうございます！』

そうですか、と訝しげな声で言われそのまま通話が切れた。

帰宅後すぐにかかってきたマネージャーさんからの業務連絡中にすら思い出してしまう先程の出来事に、どうしようもなく頭がふわふわとして、『重症だな』と自覚する。

” ......いや？ ”

『っあーーー！！！！！！！』

服のシワも気にせずベッドの上でゴロゴロと悶える。
どうしても脳裏に焼き付いて離れないあの声と目が、ループ再生で頭を駆け巡っておかしくなりそうだ。

夢なら夢であってほしい。
あんなハヤトさんが存在するなんて。

同時に思い出す確かに唇に触れた温度が、そんな願いを砕け散らす。

誰かにこの感情の行き先を、と脳死で思いついて連絡先を開いた所で、「あーハイハイ惚気ですねさようなら」といった対応をされそうな知り合いしか居ないことを思い出しまたベッドに沈む。

そっと目を閉じると、脳のキャパオーバーからかすぐに睡魔に襲われた。